検索
連載

「速いマシンは美しい!」と何度でも言おう車を愛すコンサルタントの学生フォーミュラレポ2018(2)(1/4 ページ)

お待たせ! 恒例企画。車とバイクが大好きなモノづくりコンサルタントから見た「全日本学生フォーミュラ大会」。2018年も楽しくレポートします! さて第2回はどの大学が登場するでしょうか。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 2018年9月4〜8日、静岡県袋井市・掛川市内の小笠総合運動公園(通称「エコパ」)で「第16回 全日本学生フォーミュラ大会」(以下、学生フォーミュラ)が開催され、2017年に引き続き最終日にMONOist編集部の小林由美さんとの取材をしてまいりました。2018年もピットレポートを中心に学生さんの熱き思いを伝えていきたいと思います。車両のレギュレーションや審査ルールなどは全日本学生フォーミュラ公式サイトをご覧ください(関連記事:学生フォーミュラ2018、前例のない事態の中で阪大が優勝、海外の大学が健闘)。

>>前回

No.18 茨城大学(Ibaraki University Racing)

 Tシャツの背中にモーターサイクル好きでなければ多分分からないであろう「Hasqvana」の文字を掲げるのは茨城大学! チームリーダーの丸山敬太さんに声をかけました。


茨城大学のマシン「IUKM-14」

関(以下S) Hasqvanaの文字が目を引きますね! でもモーターサイクル好きでなければ分からないこのメーカーのエンジンをなぜ選んだのですか?

丸山さん(以下M) 前回(2017年)からのレギュレーション変更(最大排気量700cc以下)に合わせ、692ccのパワフルな単気筒エンジンを選びました。67PSのパワーと低速域からの爆発的加速が魅力です。

S KTMの傘下に入ったとはいえ、ハスクバーナは軽量ハイパワーのモーターサイクル作りが得意ですものね。2018年のマシンの特徴を教えてください。

M そこはテクニカルディレクターの伏見にしてもらいますね。

伏見さん(以下F) 2018年のコンセプトは「Optimum F」としました。車両を構成する各部品の機能を最適化するという狙いです。2017年のマシンをベースに走行テストでさまざまな計測をして、2018年は細かい部分までアップデートを重ねました。走行テスト距離も2017年よりできるだけ増やしました。

S 走らせて、細かい部分を詰めるとともに、耐久性も確認していったということですね。2017年と比べて一番変わった部分はどこですか?

F 軽量化です。2017年は224kgあった車重を207kgにまで減らしました。

S 17kgも! どこで減らしたのですか?

F 主には外装パーツです。カーボンを使うだけでなく、その積層方法を工夫しました。あと、足回りのパイプ径も最適化して、できるだけ軽量化をしました。

S 確かにロッドの径がさまざまですね!


解析による最適化でさまざまなパイプ径の部品を設計

小林記者(以下K) シミュレーションは活用していますか?

F はい、まずは設計段階でシミュレーションをして当たりを付け、数種類の部品を作り、走らせて選んでいくというスタイルです。

K ソフトウェアは何を使っていますか?

F 3D CADはSOLIDWORKSで、流体解析はCD-adapco(シーメンスPLMソフトウェア・コンピューテイショナル・ダイナミックス)のソフトウェア、エンジンの解析でGT-SUITE(Gamma Technologies)、そして2018年は燃料タンクの中の流れの解析をANSYSで行いました。試行錯誤的に一番計算階数が多いのがやはりエアロデバイスの空力解析です。

K マシンパワーをたくさん使って並列計算しているんですよね?

F HPCシステムズさんからマシンをかりて並列計算をしています。

S 2018年の戦績はどうなんですか?

F 動的審査ではやはり天候の関係で、あまり走れず細かいセッティングの部分で詰め切れず、「もう少し行けたかな?と」感じていますが、今からのエンデュランスに臨みます!

S、K ありがとうございました! 頑張ってください!

 茨城大学は静的審査でのデザイン9位、コスト14位、動的審査でのスキッドパッド 8位、オートクロス 6位などの成績で総合 16位となりました。そして私たちのインタビューでも尋ねた解析への注力が認められ、CAE特別賞の3位に輝きました。


右 チームリーダーの丸山さん  左 テクニカルディレクターの伏見さん

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る