介護・福祉関連市場の調査報告、介護業務効率化支援システムが2025年に2.2倍へ:医療機器ニュース
富士経済は、介護・福祉関連製品・サービスの国内市場を調査し、2025年市場予測(2018年比)を含む結果を「Welfare関連市場の現状と将来展望 2019」で発表した。同調査によると、介護業務効率化支援システムが2.2倍の22億円になるという。
富士経済は2019年9月19日、介護・福祉関連製品・サービス市場についてまとめた「Welfare関連市場の現状と将来展望 2019」を発表した。2025年の市場予測(2018年比)は、介護業務効率化支援システムが2.2倍の22億円、オーラルフレイル対策関連製品が50.0%増の63億円になるという。
同調査は、介護者や病院・高齢者施設での介護業務の負担軽減などを目的とした介護・福祉関連製品・サービスを対象とし、計65品目の市場動向を明らかにした。その結果、2025年の市場は、介護保険対象製品が1811億円(2018年比126.2%)、介護・福祉関連生活必需品が2952億円(同125.0%)、介護・福祉関連生活向上機器・装置が1325億円(同97.6%)、介護負担軽減型機器・システムが812億円(同145.8%)、介護製品流通業界(卸、貸与・販売事業者)が6613億円(同139.4%)、介護・福祉関連サービスが4兆8064億円(同126.0%)と予測された。
2018年に比べると、介護・福祉関連生活向上機器・装置は福祉車両の縮小により微減するが、高齢者人口の増加で今後も大幅な市場拡大が予想されると分析する。
また、注目市場として、次の3つを挙げる。1つ目が介護業務効率化支援システムで、スマートフォンやタブレット端末を使用し、介護記録の入力作業を効率化するシステムが対象。2025年の市場予測は22億円(同2.2倍)となっている。その背景には、人材不足からIT技術を活用して業務効率向上を目指す事業者が増えていること、介護現場の労働環境改善を目的に特定処遇改善加算が設立されたこと、経済産業省のIT導入補助金の活用などがある。
2つ目の介護用消臭剤は、在宅介護の推進で要介護度の高い高齢者の在宅居住率が増加すること、介護者が快適な環境下でケアできる住環境が求められることが市場拡大の要因として挙げられている。
3つ目の高齢者向け介護保険外サービス(生活支援)は、認知症などで行動が制約される高齢者に向けた民間企業による生活支援、家事代行サービスを対象とする。介護保険は、受けられるサービスに制限があるため、介護保険外の高齢者向けサービスに注目が集まっており、今後も市場拡大が続くとみられる。
他に、フレイル関連市場では、オーラルフレイル対策関連製品とフレイル予防・フレイル評価システムの成長が見込まれる。フレイルとは、加齢で心身機能が低下し、要介護状態への進展が懸念される状態のことで、予防対策の重要性が広がっている。
オーラルフレイル対策関連製品としては、介護用口腔ウェットティシュ、介護用口腔スポンジブラシ、口腔保湿剤が対象だ。2025年市場予測は63億円で、要支援・要介護への移行を阻止するため、病院・高齢者施設では口腔ケア(オーラルフレイル対策)が重視されつつある。
フレイル予防・フレイル評価システムは、特定項目の入力でフレイルの進行度を予知・測定し、フレイルを予防するためのプログラム提案などを行う製品・システムを対象とする。現在は実証段階にあるシステムが多く、実用化が進むのは、地域包括ケアシステムが構築される2025年ごろと考えられている。
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