ロボット介護機器開発を体系的にまとめたガイドブックの無償配布を開始:医療機器ニュース
産業技術総合研究所ロボットイノベーション研究センターは、安全で有用なロボット介護機器の開発方法を体系的にまとめた「ロボット介護機器開発ガイドブック」の無償配布を開始した。
産業技術総合研究所ロボットイノベーション研究センターは2018年9月10日、安全で有用なロボット介護機器の開発方法を体系的にまとめた「ロボット介護機器開発ガイドブック」の無償配布を開始した。日本品質保証機構、アプライド・ビジョン・システムズ、愛知医科大学、日本自動車研究所、労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所、名古屋大学、日本福祉用具評価センター、日本ロボット工業会、日本福祉用具・生活支援用具協会と分担して作成した。
ロボット介護機器の開発者を対象とし、機器開発の安全設計・試験法、効果評価法、被介護者や介護者の生活機能の目標を含めた設計方法などを体系的にまとめた。開発の方法論を、開発コンセプト、力学モデルによる仕様設計、リスクアセスメント、ロボットの設計・製作、安全試験、実証試験という6つから構成し、詳細に解説している。ロボット介護機器の各重点分野の標準規格の策定状況、ロボット開発・導入時の指針も記載した。
ガイドブック本体に加え、「ロボット介護機器開発のための安全ハンドブック」「ロボット介護機器実証試験ガイドライン」「倫理審査申請ガイドライン」「ロボット介護機器開発導入指針」の4つの関連文書も同時に公開した。例えば、ロボット介護機器開発のための安全ハンドブックでは、重点5分野8種類のロボット介護機器の開発事業者が、機器の安全性を検証する手法をまとめている。
要介護(要支援)認定者数の増加や介護人材の不足などから、ロボット介護機器の開発が進んでいる。しかし、機器開発の安全設計・試験法などをまとめた文書はなく、開発者は試行錯誤で開発を進めていた。今回発表した文書が利用されることで、より安全で有効なロボット介護機器の開発が促進され、介護者不足などの課題解決の一助となることが期待される。今後は、このガイドブックを利用し、ロボット介護機器などの開発を支援していく。また、関連の支援ツールの普及も進める他、ロボット介護機器の国際標準化を目指すとしている。
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