介護ロボットの国内市場規模、2021年度に37億円超へ:ロボット開発ニュース
矢野経済研究所は、2018年度の介護ロボット市場についての調査結果を発表した。2018年度の国内介護ロボット市場規模は、全てのロボットタイプで市場規模が拡大し、前年度比134.7%の19億3200万円になると見込んでいる。
矢野経済研究所は2018年8月8日、2018年度の介護ロボット市場についての調査結果を発表した。同年4〜7月に実施し、国内の介護ロボットメーカーやその販売元、研究開発を行う企業などを対象とした。
同調査では、介護ロボットの範囲を歩行支援ロボットや排せつ支援ロボットといった介護現場での使用を提案/訴求している製品とし、医療用やリハビリテーション用などのサービスロボットは対象としなかった。
国のプロジェクトが2016年度をめどにいったん終了し、一部タイプの介護ロボットについて市場規模が減少したことで、2017年度の国内介護ロボットの市場規模は前年度比85.3%の14億3400万円となった。2018年度は全てのタイプで市場規模の拡大が予想され、前年度比134.7%の19億3200万円まで回復する見込みだ。
現在は国が主導するプロジェクトに参加した開発企業が自社で介護ロボットの普及を図る段階にあり、第2世代の製品も出てきている。また、介護ロボットの導入が本格化してきており、新たな企業による新規参入が期待されている。
今後、同市場は着実に成長を続け、2021年度には市場規模が37億6500万円に達すると予測される。介護ロボットは、既存の競合製品と比較して使用者の負担を軽減できることが強みだが、高価格というデメリットがある。同社では、今後どのように費用対効果を高めていくかがポイントだと考えている。また、介護ロボットへの関心を高め、普及させる起爆剤として、ヒット作の誕生が望まれるとしている。
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