CAE普及のためには設計と現場の“両輪”で3D推進を急ぐべし!:ママさん設計者が教える「設計者CAE超入門」(3)(3/3 ページ)
かつて2次元大好き信者だった筆者が“CAEの重要性”に気が付いた経緯を踏まえつつ、話題の「設計者CAE」の基本的な考え方について解説する連載。第3回は、設計も現場も1つになって、「総知総力」を挙げたモノづくりを実現するためのヒントを提示する。
ムダの削減、技能継承をアシストする切削加工向けCAE
設計者CAEとは少しそれますが、切削加工におけるシミュレーション専門のCAEも存在します。このCAEの狙いは、CAMのツールパスシミュレーションとは異なり、切削時の負荷や熱の発生などをシミュレーションすることにより、実際の加工前に最適な切削条件を導き出したり、工具の摩耗を予測したりして加工コストを抑えて効率化を図るものです。
また、限界を超えるような負荷を掛けたことで起きるワークや工具の破損、機械の緊急停止などを予測することにも役立つので、ムダが削減できる他、これまで技能者が各自の勘や経験を頼りに行っていた作業を、CAEによって標準化することで技能継承のアシストが可能になります。
これからは「設計から現場へ」の一方向ではなく、「現場から設計へ」という逆方向の提案が行える環境を、“社内文化”として作ることが大切です。その際、重要なのが客観的な根拠に基づいて主張(コミュニケーション)することです。
こうした環境は、近年筆者が説いている「自律型の製造現場」の実現に通じるものであり、だからこそ「加工現場でも設計者CAEを使っていきましょう! むしろ積極的に取り入れましょう」とお伝えしているのです。設計者CAEを生かしながら、設計も現場も1つになって「総知総力」を挙げたモノづくりを目指したいですね。(完)
Profile
藤崎淳子(ふじさきじゅんこ)
長野県上伊那郡在住の設計者。工作機械販売商社、樹脂材料・加工品商社、プレス金型メーカー、基板実装メーカーなどの勤務経験を経てモノづくりの知識を深める。紆余(うよ)曲折の末、2006年にMaterial工房・テクノフレキスを開業。従業員は自分だけの“一人ファブレス”を看板に、打ち合せ、設計、加工手配、組み立て、納品を一人でこなす。数ある加工手段の中で、特にフライス盤とマシニングセンタ加工の世界にドラマを感じており、もっと多くの人へ切削加工の魅力を伝えたいと考えている。
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