高齢者施設で採用広がる「PALRO」、SOMによるエッジコンピューティングが力に:モノづくり最前線レポート(2/2 ページ)
富士ソフトがイベント「KUMICO Meetup 2019」を開催。エッジコンピューティングを実現するために最適なハードウェア構成として活用できる「SOM(System on Module)」の事例講演として、同社が高齢者施設などに展開する「PALRO」の要素技術を紹介した。
「PALRO」はなぜSOMを採用したのか
PALROのサイズは全高が40cm、質量は1.8kg。タッチセンサー、マイク、処理センサー、カメラ、CPU、6軸センサー、圧力センサー、アクチュエーターなどを内蔵しており、回路基板はSOMを搭載するドーターボード、サーボインタフェースなどを搭載するサブボード、これら両ボードを接続するジョイントボード、頭部製制御用ヘッドボードで構成されている。
開発当初、PALROの回路基板はCPUやペリフェラル込みで1ボード構成にしていた。しかし、ハードウェアに対する要件の変更が予想されたこと、開発期限が限られていたことなどもあり、「必要があればその時に置き換えることを前提に」(石田氏)、インテル(Intel)のプロセッサ「Atom」の1つである「Z530」を搭載するSOMを採用した。
その後、搭載アルゴリズムの高度化や監視系プログラムの規模拡大によるCPUリソースに対する要求の増大と、量産コストの削減に向けてNXP Semicondutcorの「i.MX6」を搭載するSOMに置き換えた。この結果、CPUボードの変更だけで、ハードウェア変更を最小限に抑えながら性能向上を実現できた。また、開発費の削減、開発期間の短縮にもつながっている。
コミュニケーションロボットの用途は幅広く、その活用拡大が期待されている製品分野でもある。このため、機能や仕様を頻繁に変更する必要性があり、技術革新のスピードに対応するためのハードウェアの柔軟性。また、エッジコンピューティングの特性を生かした高応答性が必要であり、開発においては高性能のCPUの使用が求められる。石田氏は「それらに対してフレキシブルな組み込みシステムを備えることは重要であり、SOMはその要件を満たす」とSOM利用のメリットを指摘した。
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