モバイル化する医療機器、AIとロボットの活用も進む:MEDTEC Japan 2018レポート(1/3 ページ)
東京ビッグサイトで2018年4月18〜20日に開催された「MEDTEC Japan 2018」。今回は、医療機器のモバイル化やAI、ビッグデータなどの先進技術に関する同イベントでの展示内容を紹介する。
UBMジャパンが主催する「MEDTEC Japan」は、医療機器の設計・製造に関するアジア最大級の展示会だ。2018年で10回目の開催となった「MEDTEC Japan 2018」(2018年4月18日〜4月20日、東京ビッグサイト)では、国内外の560社/団体が出展し、事務局の発表によると、期間中は延べ3万1062人が足を運んだ。本稿では、同イベントの展示内容の一部を紹介する。
リアルな触感を遠隔地やVR空間で再現
日本メクトロンのブースでは、科学技術振興機構ACCEL「触原色に立脚した身体性メディア技術の基盤構築と応用展開」プロジェクトで開発された「3原触モジュール」を参考出展していた。
日本メクトロンは、FPC(フレキシブルプリント基板)の開発を手掛けるメーカーだ。FPCとは、柔軟性のある回路基板で、軽量で薄く柔らかい素材であるため、電子機器の小型化や耐屈曲性が必要な配線に欠かすことのできない製品だ。
同ブースの説明員によると「3原触モジュールは、3原触を計測すれば、その組み合わせによりさまざまな触感の再現が可能になるという触原色原理の考え方に基づき開発された触感伝送モジュールだ」という。人間の皮膚は主に「力」「振動」「温度」の3つの物理刺激に反応する。これら3つの物理刺激を“3原触”と呼ぶ。
日本メクトロンでは、3原触モジュールについて「振動提示部、温度提示部、電気刺激提示部の3つの触覚提示手段を世界で初めて指先サイズに搭載したもの」と説明する。さらに、開発を進める過程で制作された、超薄型「3原触グローブ」を展示していた。
3原触グローブは、3原触モジュールと駆動回路、これらを接続するFPC、グローブで構成される。日本メクトロンの伸縮性のあるFPCを取り入れることでモジュールの小型化に成功している。
主な利用用途としては「ゲーム/VR(仮想現実)」「ロボット」「モバイル/ウェアラブル」などが挙げられる。医療用途としては、乳がんの触診にも用いられることが想定されている。具体的には、医師が触って得られる感触を遠隔拠点にいる他者にも伝えることができるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.