製造業向けのIoTデータ分析やAI活用で協業、データサイエンティスト不足も補完:製造ITニュース
日鉄ソリューションズとIoT向けのAIおよび分析ソリューションを展開するカナダのMnuboは2019年5月30日、両社が4月に発表した戦略的パートナーシップの内容について記者説明会を開催した。
日鉄ソリューションズとIoT向けのAIおよび分析ソリューションを展開するカナダのMnuboは2019年5月30日、両社が4月に発表した戦略的パートナーシップの内容について記者説明会を開催した。
日鉄ソリューションズは「IoXソリューション」として、IoT(Internet of Things)に「ヒトのインターネット」を意味するIoH(Internet of Humans)も組み合わせ、モノと人を組み合わせた現場を高度化するソリューションを展開している。
これらの取り組みの中で約2年前からMnuboと関わりを強めてきたが、IoTに関する取り組みの考え方が近いことから戦略的パートナーシップを結ぶことを決めたという。
日鉄ソリューションズ IoXソリューション事業推進部 東條晃己氏は「MnuboはIoTデータを専門に分析や活用を進めてきたベンダーで高度なプラットフォームを持つ他、グローバルでのさまざまなユースケースを抱えている。さらにプロフェッショナルサービスとして豊富に抱えるデータサイエンティストによる分析をサービスとして提供する仕組みもある。これらの点に期待し協業を行うことを決めた」と述べている。
IoTデータ専門の分析ベンダーのMnubo
Mnuboはカナダのモントリオールに本社を置く2012年創業のベンチャー企業である。IoTデータをビジネスに活用したい企業向けのデータ解析ソリューションを提供している。
同社の製品は、ユースケースに基づいたソリューションをまとめた「AIoT Solutions」、解析ツールとすぐに使える分析ライブラリを用意した「AIoT Analytics Libraries」、データサイエンティスト向けのAI統合環境を提供する「AIoT Studio」、コネクテッドデバイス向けのAPIベースのデータ解析プラットフォーム「AIoT Analytics Platform」の4つを用意する。
これらの製品群をベースとし、IoTに関する戦略やロードマップを立案するアドバイザリーサービス、目的に対して効果が得られるデータは何かを見つけるデータ探索サービス、ソリューションそのものの設計、PoC(概念実証)、実装、教育など、成果を生むまでの一連の導入サイクル全域を支えていくという点が特徴だといえる。
Mnubo CRO(Chief Revenue Officer)のジャック・リン(Jacques Lyne)氏は「IoTは業種や職種、置かれている立場によって価値を生む手法ややり方が全て異なり、個別実証で成果を確認しながら進めるしかない。そういう意味で顧客のビジネス価値に寄り添い、それらを一貫して支えられるというのが特徴だ」と述べている。
Mnuboが注力している領域には、農業やエネルギー産業、スマートホーム、スマートシティーなどがあるが、日鉄ソリューションズとのパートナーシップは主に製造業などの産業向けを対象としたものである。リン氏は「日鉄ソリューションズとの協業は、産業領域での強い知識を持つという点に期待している」と述べている。
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