“ソニーらしさ”を再定義、CMOSイメージセンサーはエッジAIを組み込み新価値創造:製造マネジメントニュース(3/3 ページ)
ソニーは2019年5月21日、経営方針説明会を開催。コンテンツの入り口から出口までをカバーするテクノロジーカンパニーとしての立ち位置をあらためて明確化した他、次世代コンソールに注目が集まるゲーム関連事業や、CMOSイメージセンサーを中心とした半導体事業の取り組みについて紹介した。
長期視点での企業価値を強調
ソニーでは現在進行中の2018〜2020年度の3カ年で累計営業キャッシュフロー2兆2000億円という目標を掲げている。一方で、計画当初に掲げていたセグメントごとの営業利益目標については取り下げている。吉田氏は「あくまでも長期視点での持続的成長を目指した変更だ。3カ年での目標を掲げると、中期計画の開始年であれば3年、2年目は2年、3年目には1年先しか見ないようになる。もちろん目標を達成するという意味では重要だが、こうした短期的視点だけで考える経営は、長期的には打つべき手が打てないことでリスクにつながる可能性がある。そういう意味で短期的視野だけに立った目標は取り下げることにした」と狙いについて語る。
一方で事業ポートフォリオの入れ替えについては「常に議論していく必要がある。ソニーという企業の中にはさまざまな事業があり、多様性が存在する。これは時には経営効率が悪いというようにも見えるかもしれないが、この多様性を大事にするという考え方に立ちたい」と吉田氏は述べる。
ただ、過去数年にも撤退してきた事業がある。「例えば、スマートフォン端末はエンタテインメントプロダクトだと考えるが、PC端末は生産性を追求する機器だ。そういう考えで切り離した(現在はVAIO)。もう1つの撤退事業としてはリチウムイオンバッテリー事業がある(現在は村田製作所)。これはソニーがもともと市販製品を初めて開発したので思い入れはあったが、ソニーを中心とするのがブランドを使ったビジネスであり、部品ビジネスであるバッテリービジネスへのリソースの問題で売却に至った。そういう意味では存在意義などでも示した、人という軸、テクノロジーという軸でストーリーを描けるかどうかがポートフォリオを考える1つのポイントとなる」と事業の組み換えについての考え方を示した。
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