検索
特集

「令和元年式」輸入バイク15台に乗って見えた3つの注目点エコカー技術(3/3 ページ)

自動車に比べてバイクには試乗の文化がない。だが、1日で15台試乗すると見えてくるものがある。見えてきた3つの「注目点」とは何か。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

迫る電動化の波、国産メーカー4社も協力へ

 今回輸入車を持ち込んでいた9社の内、キムコ、ハーレーダビッドソン、BMWの3社が既に電動バイクを開発している。なかでも先行するのが台湾のキムコだ。アジア市場で日本のバイクは大きなシェアを誇るが、電動バイクに関してはキムコらに代表されるアジアメーカーが先行しているのが実情だ。

 電動バイクはガソリン車の給油回数に比べて頻繁に充電する必要があることから、運送や配達など走行ルートや走行距離が一定な用途での導入が先行するだろうと目されている。しかし、キムコジャパンは試乗会場にスポーツタイプの電動バイク「SuperNEX」を展示していた。コンセプトモデルではあるが、既にスクーターで電動化のノウハウを蓄積していることもあってか、SuperNEXも一見すると市販モデルと見まがうほどの出来であった。


電動バイクのトランスミッションはCVTが一般的だが、SuperNEXは6速MTを搭載。パワーバンドを最適に使うことで、時速0-100kmの加速が2.9秒という加速力を実現している。ちなみにモーター駆動なので排気音はないが、選択中のギアポジションに応じた走行音を出す機構を備えている(クリックして拡大)

 前述のように、キムコは地元である台湾を始めとするアジア圏で既に電動バイクを数多く販売している。スクーターに特化した製品戦略をとっているため、日常の足として1日に必要とされる平均航続距離など運用データも多く蓄積する。インフラ面での課題を抱える電動車の運用について、一日の長を持つといえるだろう。

 キムコは2018年に着脱式のメインバッテリーと固定式のサブバッテリーを組み合わせた電動スクーターや、着脱式バッテリーに対応した充電ソリューションである「iONEX」を発表し、2019年末までに2000箇所に充電ステーションを整備する方針も示した。電動バイクの一般化に向けて着々と歩みを進めている。


 アジア圏のバイク市場で高いシェアを持つ日本メーカーも、遅ればせながらではあるが電動バイクの普及へ動き出した。2019年4月にホンダ、ヤマハ発動機、スズキ、川崎重工業の4社は着脱式バイク用電池の規格統一を目的とした協議会を立ち上げた。規格統一はもちろんのこと、充電ステーションの設置も推進するとしており、日本メーカーもようやく電動バイクの周辺環境整備に腰を上げたことになる。

 これらの動きがすぐさま「全面的なバイクの電動化」につながるとは断言できないが、自動車と同様、環境負荷の側面からもガソリン車への規制は今後も厳しくなることは予想される。クルマの場合はエンジンとモーターの“いいとこ取り”を狙ったハイブリッド車やプラグインハイブリッド車が存在感を持っているが、バイクの場合はクルマと比べて重量とコストが増加する複雑な機構が受け入れられにくい。

 しかし、充電作業を簡易にし、走行距離の短さを解決する着脱式バッテリーの存在や、普及に向けた規格の統一、着脱式バッテリーに対応した充電インフラの整備が進むことは、バイクの電動化を後押しする1つの大きな要因になるといえそうだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る