「令和元年式」輸入バイク15台に乗って見えた3つの注目点:エコカー技術(2/3 ページ)
自動車に比べてバイクには試乗の文化がない。だが、1日で15台試乗すると見えてくるものがある。見えてきた3つの「注目点」とは何か。
EUのABS装着義務化を受け、電子制御化進む
古くからのバイク乗りであれば「電装系=セルモーターやライト」という印象を持っているかもしれないが、排ガス規制に端を発する燃料噴射装置の導入がバイクの電子化を急速に推し進めた。ADAS(先進運転支援システム)が普及しているクルマほどの電子化ではないが、バイクでもEU(欧州連合)ではABS(アンチブレーキロックシステム)の搭載が義務化され、走行モードの切り替えも決して珍しいものではなくなるなど電子制御化が進んでいる。メーター類も、まるでスマートフォンのような大画面のディスプレイ1枚に置き換えられたものが増えている。
10年ほど前は欧州からの輸入車であってもABSがオプション設定される程度であったと記憶しているが、走行モード切り替えは多くの車種が実装している。Panigale V4 Sなどスタイルからして違和感のないフルカウルのレプリカ系や、雨天と長距離走行に対応する必要のあるツアラーはもちろんのこと、1970年代を感じさせる武骨さが売りであろうBMW「R nineT」ですら、ABSやトラクションコントロール機能を有している(初出時、R nineTの電子制御機能について誤りがありましたので訂正させていただきました)。
バイクはヒトが体重移動で操作する乗り物なので、こうした「積極的な電子制御」を取り入れることに対して否定的な意見もある。しかし、元来、バイクは不安定な乗り物であって、タイヤが回転しなければ自立することもできない。バイク側からの積極的な制御は時代の流れともいえる。
加えて、各車種が備える走行モード切り替えは、試乗した限りではその車種が持つ特性や特徴を大きく変えてしまうほどではない。スイッチ1つでドゥカティがハーレーに変わるわけではない! ジャックナイフ転倒がABSの普及で激減したように、積極的な電子制御はバイクを安全に楽しむための新技術として歓迎していくべきだろう。
電子化や電子制御というほどの話ではないが、あえて砲弾型メーターを搭載したクラシカルな外観の車種であっても「ミッションが何速に入っているか」をデジタルの数字で表示する車種が多くなっている。乗り慣れれば回転数と音で何速に入っているかは判別できるものなので、ある意味、無用の長物とも思うのだが……。ただ、バイクのメーターパーツが機械式のスピードメーターとタコメーターだけであった時代は終わりを告げつつあり、大画面液晶などを使った統合HMI(ヒューマンマシンインタフェース)が主流になりつつあることは感じられた。
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