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「令和元年式」輸入バイク15台に乗って見えた3つの注目点エコカー技術(1/3 ページ)

自動車に比べてバイクには試乗の文化がない。だが、1日で15台試乗すると見えてくるものがある。見えてきた3つの「注目点」とは何か。

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 四輪車に比べて二輪車(バイク)は趣味性の高い乗り物だ。必要に迫られて購入する機会は少ないだろうし、購入する前の時点でメーカーやタイプ、人によっては車種すら既に決まっていることが多い。ライダーにとって「これ」と決めたバイクを試乗なしに買って乗り続けることは当たり前であり、買う前に乗り比べたり、試乗したりすることはあまり一般的ではない。そのためかクルマに比べてバイクでは購入前の試乗という文化が根付いていない。

 メーカー資本の大型販売店では試乗車を用意することもあるが、バイクは転倒や破損の危険がつきまとうので、中古車を含めて購入前に試乗して乗り比べるという経験をした人は多くないはずだ。また、2018年10月からヤマハ発動機がレンタル事業を開始したことで話題になったが、四輪車のレンタカーのようなバイクレンタル業者もそう多くない。この文章を書いている本人も免許歴は20年以上、7台のバイクを乗り継いでいるが、購入前に試乗する機会に恵まれたことはない。

 しかし、ひょんなことから「令和元年式」の最新モデルを含む、海外メーカーのバイク15台を1日で乗り比べる機会に恵まれた。大手メーカーがそろった日本車に乗らずにバイク全体を語ることができないのは十分に承知しているが、これだけ乗ると見えてくるものもある。海外メーカーのモデルに限る話であるが、「令和元年」のバイクがどのような傾向にあるのか、3つの注目点について言及したい。


日本自動車輸入組合(JAIA)が主催した「第5回 JAIA輸入2輪車試乗会」。今回はビー・エム・ダブリュー、BRPジャパン、ドゥカティジャパン、ハーレーダビッドソンジャパン、KTM Japan、キムコジャパン、ピアッジオグループジャパン、トライアンフモーターサイクルズジャパン、ホワイトハウスオートモービルの9社が参加(クリックして拡大)

進む多様化

 試乗の機会は日本自動車輸入組合(JAIA)が2019年4月に開催した「第5回 JAIA輸入2輪車試乗会」だった。今回はビー・エム・ダブリュー、BRPジャパン、ドゥカティジャパン、ハーレーダビッドソンジャパン、KTM Japan、キムコジャパン、ピアッジオグループジャパン、トライアンフモーターサイクルズジャパン、ホワイトハウスオートモービルの9社が参加。最新の2019年モデルを含む70台以上が試乗可能な「乗り比べ天国」だ。

 試乗したモデルは以下の通り。せっかくの機会なのでタイプもバラバラな、2019年モデルも含む15台に試乗した。二輪車レースの最高峰であるMoto GPを戦うようなカリカリのレーサーレプリカから、クラシカルなネイキッド、アメリカン、スクーター、果ては普通免許で乗れる三輪車までさまざまだが、2019年現在、新車として売られる車種である以上、通じるものはあった。

メーカー(ブランド) 試乗したモデル
KTM 「125 DUKE」「250 DUKE」「RC390」「1290 SUPER DUKE GT」*
HUSQVARNA 「VITPILEN 701」
BMW 「R nineT」「C 400 X」*
BRP 「Can-Am Ryker 900」*
ドゥカティ 「Panigale V4 S」* 「SuperSport S」 「Monster 797 +」
ハーレーダビッドソン 「SPORTSTER FORTY-EIGHT」*
MOTO GUZZI 「V7 III Milano」
TRIUMPH 「SPEED TWIN」*「SCRAMBLER 1200 XE」*
備考:車名の後ろに*があるモデルは2019年モデル

 現在販売されている(あるいはこれからされる)15台に乗ってまず感じたのは、細分化とも呼べる多様化だ。そもそもバイクはその用途や特徴、構造、利用者の価値観などさまざまな分類が可能だが、「クラシカルな外観を持った700ccクラスのバイク」という共通項を持つ、HUSQVARNA「VITPILEN 701」とMOTO GUZZI「V7 III Milano」を比べても運転感覚は全く違う。

HUSQVARNA「VITPILEN 701」とMOTO GUZZI「V7 III Milano」。いずれもクラシカルな雰囲気を持つ700ccクラスのバイクであるが運転感覚は全く違う(クリックして拡大)

 前者は非常にピーキーなハンドリング特性を持ち、後者は対照的なほどにマイルド。運転を楽しみたいという要望には両者とも応えるが、比べるならばコーナーを楽しむVITPILEN 701、ゆっくりと景色を楽しめるV7 III Milanoというぐらいに違う。

 KTMの「125 DUKE」「250 DUKE」は兄弟車種だが、前者は軽量な車体を生かした取り回し重視、後者は取り回しの良さは125に比べて劣るが、排気量が大きくなっている分だけ立ち上がりや直線での余裕が生まれる。

 多様化という言葉では表現しきれない“とがった”存在としては、300万円を超えるドゥカティ「Panigale V4 S」やBRP「Can-Am Ryker 900」を挙げたい。Panigale V4 SはMoto GPを戦うマシンに多く通じる車種だ。フェンダーやマフラーなど公道を走るための保安部品が複数追加され、重量増もあるものの、全身が緊張でこわばるほどのレースマシンらしい加速感やトルクを感じさせてくれる。


最高峰レースを戦うマシンに保安部品をつけたかのような「Panigale V4 S」。加速感やトルクなど規格外といえる感覚をもたらしてくれる(クリックして拡大)

 BRP「Can-Am Ryker 900」は俗に言うトライク(三輪車)だが、バイクをベースに作られたトライクのほとんどが前1輪、後2輪であるのに対して、前2輪、後1輪の構成を取る。そのためコーナリング時には体重をかける必要なくハンドル操作で曲がっていき、バイクの操作感覚としては異質なものになっている。その感覚は強いて言うならばカートに近いが、旋回時には膝を内側に強く入れる必要があるなど、やはり独特だ。

 国産メーカーのバイクもバラエティに富んではいるが、ここまでの多様性は見せていないように思う。単純にメーカー数の違いともいえるが、趣味の乗り物としての色彩が強い以上、この多様化や細分化は乗り手にとって歓迎すべきものだろう。


非常に独特なスタイルを持つBRP「Can-Am Ryker 900」。3輪のため普通自動車免許で乗れる(クリックして拡大)

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