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需要伸びる車載機器の信頼性試験、ULが3億円投じ試験ラボを新設車載電子部品(2/2 ページ)

第三者機関認証サービスなどを提供するUL Japanは2019年4月5日、同社伊勢本社(三重県伊勢市)に新設した「信頼性試験ラボ」を報道陣に公開した。同施設は同月8日から稼働を開始し、車載機器に特化した信頼性試験サービスを提供する。

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信頼性試験ラボの内部を公開

 信頼性試験ラボに導入された18台の試験装置は温度、湿度、振動、衝撃、塩水腐食、防水、防塵(ぼうじん)等の各種環境試験に対応し、建屋2棟の計3室に設置されている。同設備を用いた試験によって、LV124(ドイツ自動車メーカー5社が策定した試験規格)、IEC 60529/ISO 20653/JIS D 0203(自動車部品の耐湿および耐水試験)、ISO 16750-3(電気・電子機器の環境条件および機能確認試験:機械負荷)、ISO 16750-3(電気・電子機器の環境条件および機能確認試験:気候負荷)といった各種規格やメーカー独自に策定した規格における適合性を確認できる。


信頼性試験ラボで対応する各種試験規格(クリックで拡大) 出典:UL Japan

 温度と湿度に関する環境試験では、ハイパワー恒温恒湿器や冷熱衝撃装置を用意している。自動車のエンジンルーム内は100℃前後にも達し、炎天下に駐車時のダッシュボード上部は100℃以上になることもある。また、湿度に関しても「欧州企業の製品を日本に持ち込んだ時に故障が頻発したことがある。この故障原因を詳しく調査すると、日本特有の高湿度環境に原因があった」(UL Japan担当者)とし、温湿度に対して自動車部品はシビアな環境に置かれている。


温度、湿度試験の概要(クリックで拡大) 出典:UL Japan

 同施設ではエスペック製の容積300l(リットル)級エレベータ式冷熱衝撃装置「TSD-301HS-W」を日本で初めて導入している。同装置では高温さらしと低温さらしの転換をダンパー式冷熱衝撃装置よりも早くできることがメリット。ダンパー式装置では転換に約30秒程度の時間を必要とするが、同装置では60〜205℃に設定できる高温槽と−80〜0℃に設定できる低温槽を10秒以内に移動し、急激な熱衝撃の発生と試験サイクルタイムの短縮を実現する。

左:ハイパワー恒温恒湿器 右:エレベータ式冷熱衝撃装置(クリックで拡大)

 防水試験ではIPX1〜X9Kの保護等級に関して適合性を確認できる。防塵試験では浮遊式、気流式の耐塵試験機を用いてタルク、アリゾナダスト、関東ロームといった粉体で試験を実施できる。また、「日本国内での設置数がかなり少ない」(同社担当者)スプラッシュウォーター装置も同施設では導入しており、同装置では水にアリゾナダストを混ぜて試験体に噴射することで、泥はねの影響を試験することが可能だ。


防水、防塵試験の概要(クリックで拡大) 出典:UL Japan
左:IPX6適合性試験では、試験体に対して直径12.5mmのノズルから毎分100lの水を噴射する 右:防塵試験に用いる3種の粉体(クリックで拡大)

 その他、5%濃度の塩水散布によって塩水腐食試験を恒温恒湿環境で実行できる複合腐食試験機、同様に最大8.5kNの加振によって振動試験を恒温恒湿環境で実行できる大型複合環境振動試験機も設置。長期間にわたる機械疲労や腐食に関する耐久性試験を加速試験環境にて実行できる。また、試験後の電気的適合性が確認できるエスペック製導体抵抗評価システム「AMR-040-UD」やエレクトロケミカルマイグレーション評価システムも導入され、はんだや基板上に発生した微細な劣化も発見できるという。

左:塩水腐食試験の概要 出典:UL Japan 右:複合腐食試験機(クリックで拡大)
左:振動試験の概要 出典:UL Japan 右:大型複合環境振動試験機(クリックで拡大)
左:恒温恒湿器や導体抵抗評価システムが並ぶ 右:エレクトロケミカルマイグレーション評価システム(クリックで拡大)

 信頼性試験ラボの売り上げ目標について、橋爪氏は「3年後に年間2億円」を掲げる。「顧客向けのオープンハウスを先日開催したが、数社の顧客からかなり強い関心を持ってもらえた。また、社内設備の不足を危惧する声も聞いている」と同施設に対するニーズの高さを強調した。同社では自動車領域のサービスについて今後も投資を継続する方針で、「2020年までに十数億円規模」(橋爪氏)とする投資計画を打ち出している。

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