ULが5カ所目のEMC試験拠点を愛知県に、自動車業界の需要拡大に対応:車載情報機器
UL Japanは愛知県みよし市に自動車向けのEMC試験施設を開設した。同社としては日本国内で5カ所目のEMC試験施設となる。サービスの提供は6月6日から開始する。
UL Japanは2017年6月1日、名古屋市内で会見を開き、愛知県みよし市に自動車向けのEMC試験施設を開設したと発表した。同社としては日本国内で5カ所目のEMC試験施設となる。サービスの提供は6月6日から開始する。
自動車向けに特化した新拠点で、EMC試験や無線試験、環境試験の他、仕向け地ごとの認可の代行申請などを行う。
投資額は非公表だが「数百億円までは行かないけれど数億円と言う単位でもない」(UL Japan 社長の山上英彦氏)。数十人の体制で稼働する。
自動車業界の需要拡大に対応
UL Japanはこれまで、自動車向けの受託試験は三重県伊勢市の本社、神奈川県平塚市の湘南EMC試験所、千葉県香取市の鹿島EMC試験所で対応してきた。
今後、コネクテッドカーの開発が加速し、相互接続性やセキュリティの確保が重要になる他、クルマの電子化が進むことから、自動車業界からの試験需要が拡大する見通し。こうしたニーズに対応する上で、既存の試験所のキャパシティーや、サンプルの受け渡しや試験の立ち会いなどの利便性から判断してみよし市に新拠点を設けた。
自動車メーカーの認証取得のサポートや、サプライヤーが自動車メーカーの求める規格に対応するのを支援する。SAE規格やISO規格、IEC規格に対応した試験を行う。
導入した設備は次の通り。
- 2mのターンテーブルを備えた電波暗室(2基)
- 自動車用チャンバー(4基)
- シールドルーム(2基)
- 電気試験設備(3基)
- TEMセル(1基)
- G-TEMセル(1基)
- ストリップライン試験設備(1基)
- トリプレート試験設備(1基)
- 防水試験機(1基)
- 防塵試験機(1基)
- 振動試験機(1基)
この他にも、高圧直流電源装置やバイポーラ電源も備えている。また、車載情報機器と携帯電話機やスマートフォンの接続性の試験も行う。安全性を満たすかどうかだけでなく、機種ごとに接続しやすさに差がないか調べる。
「車載情報機器とスマートフォンを連携させることが一般的になり、うまく接続できないことは満足度を下げる。みよし市の新拠点では100台以上のスマートフォンを用意している」(UL Japan コンシューマーテクノロジー事業部の古澤卓万氏)
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