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EVの充電時間が3分の1に、CHAdeMOが急速充電器の高出力化に乗り出す電気自動車(1/2 ページ)

電気自動車(EV)など電動車両のDC充電方式であるCHAdeMO規格が改定され、従来よりも高出力の充電が可能になった。2017年3月30日にUL Japan 安全試験所(三重県伊勢市)で開催した技術展示会で、そのデモンストレーションを行った。「この出力レベルの充電器を用いた充電は世界初」(CHAdeMO協議会)としている。

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 CHAdeMO協議会は電気自動車(EV)など電動車両のDC充電方式であるCHAdeMO規格を改定し、従来よりも高出力の充電が可能になったことを発表した。2017年3月30日にUL Japan 安全試験所(三重県伊勢市)で開催した技術展示会で、そのデモンストレーションを行った。「この出力レベルの充電器を用いた充電は世界初」(CHAdeMO協議会)としている。

 これまでCHAdeMO規格は、最高電圧500V、最大電流125Aと定めていたが、今回の改訂によって最高電圧500V、最大電流400Aの出力を可能とした。これにより、従来は50kWだった実効充電出力を150kWまで向上させることができ、充電時間を3分の1程度に短縮することが可能となるという。

走行距離100km分を8分45秒で充電する

出力の異なる急速充電器で2台を同時に充電
出力の異なる急速充電器で2台を同時に充電(クリックして拡大)

 デモンストレーションでは、韓国の充電器メーカーであるシグネットが開発した出力100kWの高出力充電器と、従来の50kWの充電器を用い、バッテリー容量が100kWh(※1)のEVの試作車両2台に同時に充電を行った。

(※1)バッテリー容量100kWhはTesla Motors「モデルS」の最上級グレードに相当。日産自動車「リーフ」の大容量モデルが30kWh。

 その結果、高出力充電器は走行距離が100kmに到達するまでの充電時間が8分45秒だった。一方、従来の50kWの充電器は、8分45秒で充電できたのは走行距離50km分の電力で、充電量は高出力充電器の半分程度にとどまった。

 今回は出力100kWの充電器でデモンストレーションを行ったが、CHAdeMO協議会では「恐らく150kWの充電器を使えば従来比で3倍のスピードになったのではないか」と見ている。

充電量の結果を示した画面。高出力型の充電器は、走行距離にして倍の電力を同じ時間で充電した
充電量の結果を示した画面。高出力型の充電器は、走行距離にして倍の電力を同じ時間で充電した(クリックして拡大)

 会場内には日産自動車の電気自動車「リーフ」「e-NV200」、三菱自動車のプラグインハイブリッド車(PHEV)「アウトランダーPHEV」、いすゞ自動車が試作したEVトラックなどを並べて、全ての出力範囲で互換性が確保できていることなどを確認した。

 こうした高出力充電器は、国内では1号機を2017年半ばに設置する予定で整備が進められているが、コストについては従来器の1.5〜2倍になると見込んでいる。このため、CHAdeMO協議会では「設置場所の受電契約が変わらない範囲で、なるべくイニシャルコストが発生しないように普及を目指す」としている。

 設置場所および台数については、「充電待ちが発生している高速道路のサービスエリアを中心に、2018年後半には3桁程度に達するのではないか」(CHAdeMO協議会)と見込んでいる。

デルタシグネットBTCパワー 充電器メーカー各社が高出力型を紹介した。メーカーはデルタ電子(左)、シグネット(中央)、BTCパワー(右)(クリックして拡大)

 EVは近年、走行距離延長のために駆動用バッテリーの大容量化が進んでいる。これを受けて、充電時間の短縮や充電ステーションでの充電待ち解消などが課題となっている。また、減った分の電力をその都度充電する「継ぎ足し充電」や、充電ステーションに隣接した施設に立ち寄る間だけ充電する「居る間だけ充電」など充電の仕方も多様化が進んでいるという。

 充電器の高出力化はこうした状況に対応するものだ。今後の高出力化について、CHAdeMO協議会は「今回、展示をしたのは最大で150kW、定格で100kWという仕様だが、将来的には定格で150kW流せるようにする。さらに350kWという仕様も視野に入れて開発を進めているが、コストが高くなるので、どのように展開するか市場を見ながら、という形になるだろう」としている。

 CHAdeMO協議会の高出力化ロードマップでは、2018年ころに定格出力150kWのタイプが、2020年ころに出力350kWで、多数の充電コネクターを備えたパワーシェア型などが登場するとしている。

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