EVの充電時間が3分の1に、CHAdeMOが急速充電器の高出力化に乗り出す:電気自動車(2/2 ページ)
電気自動車(EV)など電動車両のDC充電方式であるCHAdeMO規格が改定され、従来よりも高出力の充電が可能になった。2017年3月30日にUL Japan 安全試験所(三重県伊勢市)で開催した技術展示会で、そのデモンストレーションを行った。「この出力レベルの充電器を用いた充電は世界初」(CHAdeMO協議会)としている。
10分の1に小型化した新型検定器、CHAdeMOの海外普及を加速
技術展示会では、外部給電のデモンストレーションも行った。外部給電は、車両の駆動用バッテリーにためられた電力や燃料電池で発電した電力を、住宅へ給電(V2H、Vehicle to Home)したり非常時の電源として活用するためのものだ。今後のスマートグリッドでの分散電源という要素技術としても注目されている。
今回は、充電ケーブルとつながっていない状態の燃料電池車(FCV)、PHEV、EVの3種類の異なる電動車両と、ホンダの可搬型外部給電機「Power Exporter 9000」をつないで、電気ストーブなどの家電製品やメリーゴーラウンドなどを稼働させた。
さらに、小型で安価な新型検定器も披露した。検定器はCHAdeMO規格の認証に用いるもので、検定制度を通して車種と充電器の機種を選ばずに充電・給電できる互換性と安全性を確保している。
CHAdeMO協議会の検定制度はこれまで日本国内を中心に行ってきたが、CHAdeMO規格のグローバルな普及を加速させるには検定制度の海外導入を支援しなければならない。しかし、現行の検定器は小型冷蔵庫ほどのサイズがあり、価格も数千万円と高額だった。
技術展示会で紹介した次期型検定器は、寸法470×306×171mm、重さ12kgと旧機種の約10分の1のコンパクトサイズを実現した。価格は300万円前後と旧モデルよりも安価設定し、2017年半ばに発売する計画だ。展示されていたのはインドのタタコンサルタンシーサービスの製品。英語表記を採用した他、ユーザーインタフェースなどの使いやすさも追求している。
既に米国、インドなどからの受注もあり、CHAdeMO規格の世界的な普及を後押しするものと見込んでいる。
CHAdeMO協議会は2010年3月に発足、2016年に法人化を果たした。会員企業は自動車メーカーや充電器メーカー、電機メーカー、コネクターなどのサプライヤーに加え、電力会社やIT企業、自治体などで、35カ国の340社・団体が参加している。
2017年3月末時点で、CHAdeMO認証済みの充電器の機種数は47社、233機種に及ぶ。CHAdeMO規格の急速充電に対応する電動車両は11社の21車種となっている。これらの電動車両の販売台数は世界で55万台だ。
充電器の設置場所は、コンビニエンスストアや大規模商業施設にとどまらず、企業の事業所の駐車場や道の駅、ガソリンスタンド、高速道路の休憩設備などにも広がりをみせている。2017年2月末時点での設置数はグローバルで1万3882基。地域別では日本が7133基と半数以上を占め、欧州で4052基、北米で2161基となっている。
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