チャデモ対コンボの副産物? 急速充電器用コネクタ市場が2020年に70倍へ:電気自動車
矢野経済研究所は、電気自動車(EV)/プラグインハイブリッド車(PHEV)用充電システムの世界市場規模についての調査結果をまとめた。CHAdeMO(チャデモ)とCombined Charging System(コンボ)の競合により、2020年の急速充電器用コネクタの市場規模は、2012年比70倍の68億3300万円まで成長する見込みである。
矢野経済研究所は2013年7月23日、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)の充電に用いられる、車載充電器、急速充電器、急速充電器用コネクタの世界市場規模についての調査結果を発表した。3つの製品を合計したEV/PHEV用充電システムの市場規模は、2012年の出荷実績が178億9800万円で、2015年には2012年比4.4倍の780億3400万円、2020年には同14.7倍の2626億2800万円に達するという。
EVやPHEVの充電では、100Vや200Vの家庭用電源の交流電力を車両内部で直流に変換して充電する車載充電器や、出力が数十kWに達する直流電力で充電する急速充電器が使用される。EVの電池容量は日産自動車の「リーフ」で24kWhあるが、200V電源を使った車載充電器による充電で7〜8時間で満充電になり、急速充電器を用いれば30分で電池容量の約80%まで充電できる。
車載充電器は出力6.6kWが主流に
2012年の車載充電器の市場規模は153億円。2015年に2012年比3.7倍の574億円、2020年に同14.2倍の2148億円となる見込みである。成長の要因は、EVに加えてPHEVの新車が続々と販売開始されるからだ。
また、2012年までは、車載充電器の出力は3.3kWのものが多かった。しかし、北米を中心に家庭用電源による充電時間を短縮したいという要望が強く、出力が6.6kWのものが主流になりつつある(関連記事:北米向け新型「リーフ」は出力6.6kWの充電器を搭載、4時間でフル充電)。
コンボの普及は2015年から
急速充電器の2012年の市場規模は25億100万円だった。今後は、国内を中心にCHAdeMO(チャデモ)規格の急速充電器の設置需要にけん引され、2015年に2012年比7.5倍の186億4500万円まで成長。2015年以降は、米国とドイツの自動車メーカーが策定したCombined Charging System(コンボ)規格の急速充電器の市場展開が本格化し、チャデモとの導入競争が始まると予測している。2020年の市場規模は、2012年比16.4倍の409億9500万円となっている。
コンボ規格の登場により、市場拡大が加速しそうなのが急速充電器用コネクタである。チャデモとコンボが競合することで、1台の急速充電器に、チャデモとコンボそれぞれの規格に対応した急速充電器用コネクタを搭載する製品の導入が加速するという。2012年の市場規模は9700万円にすぎないが、2015年には2012年比20倍の19億8900万円、2020年には同70倍の68億3300万円まで成長する見込みだ。
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