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勝者なきEV用急速充電器の規格争い、5年後にはチャデモもコンボもない?電気自動車(1/2 ページ)

電気自動車(EV)用急速充電器の規格である、「CHAdeMO(チャデモ)」と「Combined Charging System(コンボ)」の争いが話題になっている。現時点で対立を深めているチャデモとコンボだが、近い将来、非接触充電技術を含めたEV用充電器の規格統一に向けた動きが加速しているかもしれない。

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EV用急速充電コネクタ

 電気自動車(EV)の大容量二次電池を短時間で充電するのに必要な急速充電器。そのEV用急速充電器の規格である、日本自動車メーカーや電力会社が推進する「CHAdeMO(チャデモ)」と、米独の自動車メーカー8社が推進する「Combined Charging System(コンボ)」の争いが話題になっている。

 2012年10月、SAE International(米国自動車技術会)が、急速充電器としてコンボを正式に採用したこともあり、「チャデモは孤立した」「携帯電話機と同様にガラパゴス化する」といった報道が相次いだ。

 ただし、SAE Internationalによるコンボの採用は、2012年5月のコンボの正式発表以前から既定路線とみられていた。チャデモを所管するCHAdeMO協議会も、「実用化で先行するチャデモ準拠のEV用急速充電器(チャデモ充電器)の展開を粛々と拡大させていく」とコメントしており、現在の状況は既に織り込み済みだ。今後は、コンボ準拠のEVや急速充電器の実用化時期が焦点になるだろう。

 このようなチャデモとコンボの争いは、EVの普及を阻害する要因になりかねない。EVやEV用急速充電器のコストに与える影響のみならず、購買意欲を減退させる効果も大きい。そもそもEVが普及しなければ、チャデモであれ、コンボであれ、EV用急速充電器の規格争いに勝者は存在しようがない。

チャデモ準拠のEV用急速充電器コネクタコンボ準拠のEV用急速充電器コネクタ EV用急速充電器のコネクタ。左はチャデモ、右はコンボに準拠している。

チャデモ規格を公開、第三者機関による認証も可能に

CHAdeMO協議会の丸田理氏
CHAdeMO協議会の丸田理氏

 チャデモとコンボが対立を深める中、東京都内で開かれたカンファレンス「第2回PHEV/EV Infrastructure and Business Japan 2012」(2012年10月30〜31日)で、CHAdeMO協議会の事務局担当を務める丸田理氏が講演を行った。

 丸田氏は、海外市場でチャデモの採用を広げるための取り組みや、実用化で先行するチャデモ充電器の採用の広がり、コンボに対する見方などについて説明した。

 まず、海外でチャデモの採用を広げるために行っている取り組みを2つ紹介した。1つは、チャデモの規格文書をJISの標準仕様書(TS)として公表したことである。従来、チャデモの規格内容については、CHAdeMO協議会の会員企業にのみ公開されていた。しかし、JISの標準仕様書として公表したことにより、国内外の誰でもチャデモの規格文書を閲覧できるようになった。日本語版の規格文書は、日本工業標準調査会のWebサイトで9月20日から公開されており、11月中には英語版も用意される予定だ。

 もう1つは、EV用急速充電器のチャデモへの準拠について、第三者機関が認証できるようにする制度の整備である。従来、チャデモ準拠の認定は、東京電力の技術開発研究所(横浜市鶴見区)でのみ行っていた。しかし、チャデモ充電器のサプライヤが30社を上回るとともに、海外メーカーも続々と参入しているため、同所だけではカバーできなくなっている。「海外展開を拡大する上でも、北米や欧州の第三者機関でチャデモ準拠の認証を取得できる必要がある。2013年3月までには制度の策定にめどをつける。既に大手の第三者認証機関とも交渉を進めている」(丸田氏)という。

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