米自技会が急速充電規格にコンボを採用、チャデモは「展開を着実に進める」:電気自動車
米国自動車技術会は、電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)の急速充電規格として、米欧の自動車メーカー8社が中心になって策定を進めている「Combined Charging System(コンボ)」を採用すると発表した。一方、日本の自動車メーカーや電力会社が中心になって策定している「CHAdeMO(チャデモ)」は、実用化で先行するEV用急速充電器の展開を着実に拡大させて対抗する方針だ。
米国の自動車エンジニアの団体であるSAE International(米国自動車技術会)は2012年10月15日(米国時間)、電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)の急速充電規格として「Combined Charging System(コンボ)」を採用すると発表した。
コンボは、Ford Motor、General Motors、Chrysler、BMW、Daimler、Volkswagen、Audi、Porscheという米欧の自動車メーカー8社が中心になって策定を進めている規格である。普通充電と急速充電の両方を1個の充電コネクタで行えることが特徴。一方、日本の自動車メーカーや電力会社を中心に策定した急速充電規格の「CHAdeMO(チャデモ)」は、急速充電にしか対応していないものの、実用面では大幅に先行している。
チャデモは、数年前から米国自動車技術会に急速充電規格として提案されていたものの、採用されなかった。チャデモを所管するチャデモ協議会によれば、「提案した当初は、チャデモと他の規格の技術コンペを行った上で決定するという話だった。しかし、決定時期は先延ばしになり、最終的には米欧の自動車メーカーの政治的判断によってコンボの採用が決まった。米国自動車技術会は、自動車メーカーなどに所属する技術者が個人会員として参加する団体であり、規格も個人会員の投票数によって決定される。米国の自動車メーカーに所属する技術者の投票数が最も多い以上、今回の決定は既定路線だった」という。
同協議会は、今後のチャデモの展開として、「現時点で、実際に運用されているEV用急速充電器はチャデモ準拠のものしかない。コンボは規格が正式に定まったものの、実証実験は行われておらず、実用化には少なくとも1〜2年はかかるだろう。その間に、チャデモ準拠のEV用急速充電器の展開を粛々と拡大させていく」としている。
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