勝者なきEV用急速充電器の規格争い、5年後にはチャデモもコンボもない?:電気自動車(2/2 ページ)
電気自動車(EV)用急速充電器の規格である、「CHAdeMO(チャデモ)」と「Combined Charging System(コンボ)」の争いが話題になっている。現時点で対立を深めているチャデモとコンボだが、近い将来、非接触充電技術を含めたEV用充電器の規格統一に向けた動きが加速しているかもしれない。
欧米の設置台数は1800台以上に
次に、チャデモ充電器の海外展開については、極めて強気な見方を示した。コンボを推進する米国では、現在94台のチャデモ充電器が設置されているが、今後2〜3年以内に711台が設置される予定である。欧州では、283台のチャデモ充電器が設置されており、将来的にこれに725台が加わるとみている。つまり、米国で800台以上、欧州で1000台以上のチャデモ充電器が設置されるというのだ。また、海外のチャデモ充電器メーカーの数も16社に増えている。
丸田氏は、コンボの課題として、「やっと規格策定が完了した段階で、実証実験のための充電器の開発も終わっていない。本格的な実用化までに、あと4〜5年はかかるとみている。また、コンボの特徴である、普通充電用コネクタとの一体化についても問題がある。普通充電用コネクタの形状が、米国のものと欧州のもので異なるため、米国市場と欧州市場で異なるコンボコネクタを用意しなければならない」と指摘した。
同氏がコンボの実用化時期を4〜5年と想定する理由は、チャデモ充電器が2006年に実証実験を開始し、2009年に商品化され、2010年以降に本格展開が始まったという経験が基になっている。
なお、コンボ陣営は2013年中にもコンボに準拠したEV用急速充電器を投入するとしている。
EV用急速充電規格の比較。左からチャデモ、CATARC(中国自動車技術研究センター)が策定している中国独自の急速充電規格、米国向けのコンボ、欧州向けのコンボの順で並んでいる。コンボは、米国向けと欧州向けでコネクタ形状が大きく異なる。なお、EVと急速充電器の通信には、チャデモと中国独自規格がCANを、コンボがPLCを採用している。(クリックで拡大) 出典:CHAdeMO協議会
ただし丸田氏は、「チャデモもコンボも、短時間かつ安全に充電するというコンセプトを持ち、急速充電器側で充電制御を行うという点では同じだ。EVと急速充電器の通信に用いるプロトコルは、CAN(Controller Area Network)とPLC(電力線通信)で異なるが、どちらが優位というわけでもない」と説明した上で、「EVの普及のためにもチャデモとコンボは一致協力する必要がある」と述べた。
さらに同氏は、「コンボの本格的な実用化に当たる5年後には、充電コネクタを必要としない非接触充電技術(関連記事)を含めて、EVの充電インフラのパラダイムチェンジが起こる可能性が高い。そうなれば、EVの充電規格を統一する機運が一気に高まるのではないか」と分析している。
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