設置が難しすぎるトヨタ「JPN TAXI」の車いす用スロープを改善、既販車も対象:車両デザイン
トヨタ自動車は2019年2月4日、タクシー専用車「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」の車いす乗降用スロープについて、同年3月に一部改良を実施するとともに、販売済みの同モデルにも改善部品を提供すると発表した。車いすの乗客やタクシー事業者から、車いす乗降用スロープの設置作業が複雑で、実際の使用場面で困難な状況が生じていると指摘を寄せられていた。
トヨタ自動車は2019年2月4日、タクシー専用車「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」の車いす乗降用スロープについて、同年3月に一部改良を実施するとともに、販売済みの同モデルにも改善部品を提供すると発表した。車いすの乗客やタクシー事業者から、車いす乗降用スロープの設置作業が複雑で、実際の使用場面で困難な状況が生じていると指摘を寄せられていた。
トヨタ自動車はYouTubeで、JPN TAXIの車いす乗降方法を紹介する約30分間の動画を公開している。車いすを乗せるためのシートアレンジやスロープの設置、車いすの固定やシートベルトの着用、降車時のスロープの撤去など作業工程が多い。「スロープの設置に15分以上かかる車両がタクシーのスタンダードになるのは問題ではないか」とトヨタ自動車にスロープの改善を求め、インターネット上で1万人超の署名を集めた車いす生活者もいる(※)。
(※)関連リンク:change.orgに開設された署名ページ
これに対する改善は、まず既販車で2019年2月から始める。具体的には、組み立て作業を簡略化した車いす乗降用スロープなど改善部品に交換し、作業が簡単に分かるラベルを車内の各部位に張り付けるなどを実施する。これにより、スロープ設置作業の習熟度によって作業時間に大幅な差が出ないようにし、スロープの設置から車いすの固定などに要する時間を4分程度に短縮していく。合わせて、タクシー事業者の協力を得ながら、乗務員向けの実車研修を実施する。
2019年3月に発売する予定の一部改良モデルでは、車いす乗降用スロープの構造を見直して車両側にも改良を加え、乗降にかかる時間を3分程度に短縮する。
一部改良では、作業の簡素化に向けて、2種類あるスロープの内、メインで使用する方を折り畳みの3枚折りを2つ折りに変更。また、収納袋ではなく、リアシート下のフロアに直接設置できるようにする。フロア固定バンドはワンタッチ式ロックとした。また、もう1つのスロープである延長用を使わない場面を増やすため、メインスロープの長さを延長した。延長用スロープは折り畳みから樹脂一体型に変更、メインスロープに結合するピンを用いず、載せるだけの結合方式に変更した。車いす固定用のベルトや延長シートベルトは、リアフロアに常設してカーペットのポケットに収納できるようにする。
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