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白物家電のノウハウから地方創生へ、パナソニックの自動車ビジネスの守備範囲モビリティサービス(1/2 ページ)

パナソニックが開催したユーザーイベント「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」(2018年10月30日〜11月3日)において、「変革するモビリティ 〜ミライのクルマ、街、くらし〜」と題するセッションに同社 副社長執行役員でオートモーティブ&インダストリアルシステムズ社(以下、AIS社)社長の伊藤好生氏と、AIS社 上席副社長の柴田雅久氏が登壇した。

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写真左からパナソニックの伊藤好生氏と柴田雅久氏(クリックして拡大)

 パナソニックが開催したユーザーイベント「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」(2018年10月30日〜11月3日)において、「変革するモビリティ 〜ミライのクルマ、街、くらし〜」と題するセッションに同社 副社長執行役員でオートモーティブ&インダストリアルシステムズ社(以下、AIS社)社長の伊藤好生氏と、AIS社 上席副社長の柴田雅久氏が登壇した。

 両氏は、自動運転技術や電動化といった車両向けの技術開発はもちろんのこと、シェアリングや無人運転車での白物家電技術の応用、街づくりや地方創生にも取り組んでいく姿勢を示した。

白物家電の技術が快適な移動をつくる

 クルマを取り巻く環境の変化について伊藤氏は「電動化やコネクテッド、自動運転といった技術面と、シェアリングという利用の面での変化が起きている」と説明。例えば、コックピットにはディスプレイが多用され、ユーザーインタフェース技術で最適な情報を表示して快適で安全な運転をサポートすることが求められる。ADASや自動運転では、画像処理や無線通信を活用して高精度に障害物を検知し、環境認識をサポートすることが必要になる。電動化では、小型で高効率なバッテリーや電源システムへのニーズが高まっている。

 「これまでわれわれがテレビやデジカメ、白物家電で培った技術がクルマの進化に貢献できると考えている。デジタルAVCや画像処理技術、電池や電源技術を、コックピットやADAS(先進運転支援システム)、自動運転、電動化に生かしていく」と伊藤氏は語った。

 ドライバーが不要な完全自動運転も見据える。「運転から解放されると移動時間の過ごし方が変わる。われわれは家電や住宅設備で、よりよい暮らしのための住空間を作ってきた。住空間のノウハウとコックピットを組み合わせて、新たなコンセプトの移動空間を提案していきたい。次世代のキャビンでは、一人一人に最適に合わせた空間にする。身体の表面温度をセンシングして空調をきめ細かく制御したり、移動の用途に合わせた照明や映像、音響で、オフィスやリビング、映画館のような空間を作ったりしていく」(伊藤氏)。また、柴田氏も「運転することよりも移動することが主体になると、車室内の快適性ではさらなる進化が求められる。シェアリングの車両では、前の人が使った後のにおいをなくすことなど、きれいな空気を作る『ナノイー』のような技術が喜ばれるだろう。住空間の技術はできる限り車室内にも応用していきたい」と語った。

 柴田氏はコネクテッドの重要性に触れた。「何かしながら移動する、という場面ではクルマの外とつながることが必要だ。自動運転が発展していく中でも重要度が高い。5Gや準天頂衛星による正確な位置情報、車車間通信(V2V)や路車間通信(V2I)といったV2Xなどさまざまなつながり方がある。V2Xの中で最も大事なのはV2I」だと同氏は述べた。

 白物家電で研究を重ねたユニバーサルデザインも自動車向けのビジネスに生きるという。スイッチの位置や大きさ、表示などで使いやすさを高めるためのノウハウを、デジタル化し、複雑になる自動車の操作系に向けて応用する。

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