デンソーがインフィニオンに出資、ルネサスに続き半導体メーカーとの関係強化:車載半導体
デンソーは2018年11月26日、インフィニオン(Infineon Technologies)に出資したと発表した。
デンソーは2018年11月26日、インフィニオン(Infineon Technologies)に出資したと発表した。
具体的な出資額は非公表だが、インフィニオンが持つ200万株強を購入、数千万ユーロ相当(数十億円)の出資となる。2018年9月末時点でのインフィニオンの資本金は22億7400万ユーロ(約3000億円)。デンソーは、調達先の1つであるインフィニオンとの関係を強化し、自動運転や電動化の進展による半導体の需要拡大に対応していく。
インフィニオンは車載向けでは、制御用マイコンや半導体センサー、パワー半導体を手掛けている。デンソーとはこれまでにも取引関係がある。デンソーは半導体を次世代の車両システムを実現するキーデバイスと位置付けており、インフィニオンの技術とデンソーの知見を融合することにより、技術開発を加速させるとしている。
インフィニオンのCEOであるラインハルト・プロス( Reinhard Ploss)氏は「デンソーとの協業関係が一層強化されることを喜ばしく思う。デンソーとの協力を通じて日本の自動車業界との絆を深め、日本や世界の半導体市場における位置付けを強化する」とコメントを発表した。
デンソーは、社内で半導体センサーやパワーデバイス、自動運転の判断を担うプロセッサなど開発を進めている。そうした製品で競合するインフィニオンやルネサス エレクトロニクスといった半導体メーカーへの出資も行うが、これまでにもデンソーは自社の半導体にこだわらず半導体メーカーの製品も採用してきた。車載半導体の需要が今後さらに拡大していく中で、自社の製品や技術にこだわらず“適材適所”で活用するため半導体メーカーとの関係を強化している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- CPUやGPUと違うデンソーの新プロセッサ、運転中のとっさの判断を半導体で実現
「Embedded Technology 2017」「IoT Technology 2017」の基調講演に、デンソー 技術開発センター 専務役員の加藤良文氏が登壇。「AI・IoTを活用したクルマの先進安全技術」をテーマに、同社が取り組む高度運転支援システム(ADAS)や自動運転技術の開発について紹介した。 - デンソーの研究開発は両極端、「半導体はウエハー作製から」「AIは内製にこだわらない」
デンソーの中長期的な要素技術の開発を担う先端技術研究所。その中には“5年単位のロードマップで腰を据えて取り組む研究開発”と“ある日突然大きく変わることに備えたショートサイクルの開発”が同居している。 - デンソーのCaaS/MaaS基盤は「デジタルツインとつながる」
デンソーは、「Embedded Technology 2018/IoT Technology 2018(ET2018)」において、2025年を目標に開発を進めているCaaS(Car as a Service)/MaaS(Mobility as a Service)基盤技術を展示した。 - デンソーがルネサスの株式保有比率を5%に引き上げ、産革機構は50%未満に
デンソーは、産業革新機構からルネサス エレクトロニクスの株式を買い取り、同社の株式保有比率を現在の0.5%から5%に引き上げる。 - トヨタが2020年に実用化する高速道路自動運転、ルネサスのマイコンとSoCを採用
ルネサス エレクトロニクスは、トヨタ自動車が2020年の実用化を目指す高速道路向け自動運転システムに、車載コンピューティングプラットフォームのSoC(System on Chip)「R-Car H3」と車両制御用マイコン「RH850」が採用されると発表した。デンソーが開発するECU向けに供給する。 - デンソーがイーソルに出資、次世代車載用電子プラットフォームの開発を加速へ
デンソーは2018年10月12日、車載用電子プラットフォームの開発を加速するため国内組み込みソフトウェアベンダーのイーソルに出資したと発表した。出資額は約1億7000万円で、イーソルへの出資比率は約2%となる。 - ライダーもそろえるインフィニオン「完全自動運転車は半導体総額が5倍に」
インフィニオン テクノロジーズは、レベル3以上の自動運転システム向けに、センサーからセキュリティ対応の車載マイコンまで製品を幅広くそろえる。センサーに関しては、買収によりLiDARが加わった。ミリ波レーダーやカメラとのセンサーフュージョンも手掛けていく。セキュリティ対応では、セントラルゲートウェイを使った無線ネットワークによるアップデート(OTA:Over-The-Air)も提案する。 - 電気自動車にSiCパワー半導体を採用するなら、電池容量は60kWhが目安
インフィニオン テクノロジーズ ジャパンは、2016年内に買収を完了する予定のWolfspeedと創出していくシナジーについて説明した。同社は、発電や電気自動車のインバータに向けたSiCパワー半導体や、5G通信の普及をにらんだGaN-on-SiCウエハーのRFパワー半導体を強みとする。