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日立化成の不適切検査がさらに拡大、新たに29製品で発覚【追記あり】製造マネジメントニュース(2/2 ページ)

日立化成が産業用鉛蓄電池の一部製品で不適切検査を行った事案で、同社は2018年11月2日、他の製品についても不適切検査を行っていたことが判明した。

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記者会見における丸山社長の主な一問一答

 記者会見における丸山社長の主な一問一答は以下の通りである。

企業、ガバナンスの問題

―― これだけ広範な範囲でさらに長い期間不適切検査が行われていたというのは何が原因なのか。

丸山氏 原因については、特別調査委員会で調査をしてもらっている。その結果を待つというのが真因を解き明かす意味では重要だと考えているが、今現在で私の頭にあるのは、製品の品質に対する過信があったということだ。これだけ長い期間の不適切行為の中でも製品の品質についてのクレームは1件もなかった。その中で、検査をないがしろにする、甘えた安易な感覚がまん延していた。品質保証に関するモラルが失墜していた。

―― これだけ長い期間、不適切な状態にあったのに過去に内部告発やこれらの真相を明らかにする動きはなかったのか。誰も声をあげなかったのか。

丸山氏 当社にも内部通報制度があった。2018年6月の鉛産業用蓄電池の不適切検査の時にも「なぜ話が出なかったのか」というのは議題になったが、内部告発制度自体が形骸化していたというのは認めざるを得ない。背景としては人事ローテーションの硬直化があったと考える。今回問題が発覚した名張事業所は新しい事業所所長が赴任したタイミングで報告が上がってきた。それまでは報告があったとしてもどこかで止まっていた。その状況が長期間にわたって常態化しまひしていた。

―― 不正があった製品とそうでない製品の違いはどこにあるのか。

丸山氏 製品によって千差万別で一概に違いはいえない。一部の検査員が行っていたケースや、検査内容の変更届が遅れたケース、課長や部長まで相談していて黙認されたものなどもある。

―― 事業所長まで報告が上がってきていたところはどこまであるのか。

丸山氏 名張事業所の他では、車載バッテリーなどを扱う埼玉事業所が事業所長まで不適切検査を把握していたと聞いている。

―― 原因となる現場の声にはどういうものがあるか。

丸山氏 さまざまなケースがあったと聞いているが、耳に入っているものでは、納期に間に合わせるためというものが多い。過去にクレームがないから納期を優先しようとしたというケースがあった。ただ、検査についても顧客との約束で、その約束を破っているわけなので、それに応えるのが当然である。こうした文化を変えるために向き合って真摯にやっていく必要がある。

―― 特別調査報告書の最終報告はいつ出るのか

丸山氏 膿は出し切ったという報告が今回だと考えるので、最終報告書は2018年11月下旬にはもらえると考えている。

―― 中期経営計画の最終年度で不適切検査の対象製品にはその中核となる製品もあるが、その影響についてはどう考えるのか。また挽回策はあるのか。

丸山氏 影響については明らかになった時点で報告する。まずは広範な製品において、不適切な行為があり、その再発防止策をきちんと講じて、1つ1つ顧客に説明をしていくことだと考えている。既に顧客企業に工場にも来てもらって、品質を1つ1つ確認してもらっている。再び一から信頼を築き上げていく取り組みを行いたい。

―― 日立化成は日立製作所グループの主要企業の1つだが、日立製作所グループ全体もそういう文化があると見られるのではないか。

丸山氏 日立化成は日立製作所グループの子会社ではあるが、上場会社でもあり独立性が高く、今回の件は日立化成単独での問題だと考えている。

安全性や品質への影響

―― 検査における不適切行為があったのに、安全や品質に問題がないとするのはなぜなのか。

丸山氏 検査の方法が契約と異なるという点があったのは事実である。ただ、性能上の問題と安全上の問題を分けたい。安全に直結する機能に関わる点では、不適切行為は確認されていない。電子材料は消費されて部品になる。そこで安全にかかわるものが不適切な行為には認められなかった。

―― 全ての顧客との検証が完了しているわけではないのに安全性に問題がないとする根拠には何があるのか

丸山氏 最終的な安全性にかかわる製品がまず限定的であり、安全性にかかわるものについては顧客の協力を得て検証を進めた。顧客との契約内容にあった検査の方法と異なるやり方をとっていた場合は、正しい検査との相関関係をとって、補正する形で再検査を行った。またキープサンプルが残っている場合は、それを再検査したケースもある。

責任および今後の取り組み

―― 経営責任についてどう考えているのか

丸山氏 当然ながら経営責任はあると考えている。特別調査委員会の最終報告書を読み砕いて、真因を理解した上で、責任のとり方は考えたいと思う。まずは品質保証体制の構築などについて社長直轄で進めていく。再発防止の対策を進めていく。

―― 再発防止策としてとり得る手は何があるのか

丸山氏 最終報告書の真因に基づいた対策をするのが重要なので、具体的な対策についてはそれを待つことになる。ただ、現状でやるつもりなのは、まず不正が行えない組織体制を作ることが1つある。そして、検査についても改ざんができない、人を通さないシステムを入れることを考えていく。



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