LoRaWANで電気メーター遠隔検針の実証実験を開始、日本橋エリアのビルで:製造マネジメントニュース
三井不動産とセンスウェイは、全国規模のIoT環境構築に向け、事業提携契約を締結した。日本橋エリアのビルを対象に、電気メーター検針作業の自動化・遠隔管理の実証実験を2018年9月1日に開始する。
三井不動産とセンスウェイは2018年6月28日、全国規模のIoT(モノのインターネット)環境構築に向け、同月15日に事業提携契約を締結したと発表した。両社が連携し、ユースケースの発掘や実証実験を通じたサービス化の検証に取り組む。それに先駆けて、日本橋エリアのビルを対象に、電気メーター検針作業の自動化・遠隔管理の実証実験を同年9月1日に開始する。
センスウェイでは、IoTに適した長距離・低消費電力通信LPWAの1つLoRaWANを使ったIoTプラットフォームを提供している。同社と三井不動産はこれまでも、三井不動産グループが管理する高層ビルなどの屋上にLoRaWANのゲートウェイ設備を設置したり、街づくりにおけるIoT活用を考えるイベントを開催し、東京・千葉・茨城をつなぐIoT通信ネットワークを構築するなどの連携を行っている。
今回の提携により、こうした取り組みをさらに拡大。2018年9月までに、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3県の三井不動産グループが管理するビルなど15カ所にゲートウェイ設備の設置を予定しており、さまざまなエリアで実証実験を行うための通信ネットワークの構築を進める。
9月に開始される実証実験は、ビル管理での検針業務の効率化やテナント企業のエネルギーマネジメントのために、電気メーターのデータ収集と可視化をLoRaWANを用いて実現するものだ。従来、月1回ビル管理者が現地で行っていた検針作業を、遠隔管理・自動化することにより、作業の手間を削減し正確性を向上させる。また、テナント企業へのサービスとして、1時間単位での電気利用量の可視化ができるようになる。
検証場所は、東京・中央区のClipニホンバシビル。大崎電気工業が開発したスマートメーターをビルに設置し、センスウェイのネットワークサービスを通して、クラウドにデータを蓄積していく仕組みを構築する。9月から3カ月間実施し、検証結果を基にサービス化を進め、日本全国のビルへの展開に向けた検討を進める。
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