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SIGFOXやLoRaに完全競合する“NB-IoT”こと「LTE Cat.NB1」IoT観測所(28)(1/3 ページ)

今回は、NB-IoT(Narrow Band-IoT)として仕様策定が進められた「LTE Cat.NB1」を紹介する。LTE Cat.NB1よりも先に、MTC/M2M向けとして規格化された「Cat.0」にも触れたい。

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 連載25回にSIGFOX、第27回にLoRaをそれぞれご紹介したが、これらと完全に競合する規格が幾つかある。この中で今回はNB-IoT(Narrow Band-IoT)こと、LTE Cat.NB1の話をご紹介したいと思う。

MTC/M2Mのために、まず規格化されたのは「Cat.0」

 最初に3GPP(Third Generation Partnership Project)での動向を簡単にまとめてご紹介したい。

 3GPPという組織は携帯電話向けの仕様の標準化を行っている団体というか標準化プロジェクトで、まずは3G(第3世代移動通信)、ついで3.9Gを経て4G(LTE)やその後継のLTE Advancedなどの仕様を策定。現在は5G向けの仕様策定作業を行っている真っただ中である。そんなわけで3GPPの本業(?)は高速、高性能な携帯電話向けの通信規格を策定するということなのだが、世の中には必ずしもこうした高速な通信規格が必要ではない、というものがある。特にM2Mの分野では、速度は遅くても良いし、通信頻度もそれほど高くないが、その代わりコストや消費電力を下げたい、というニーズが確実に存在している。こうした用途をカバーすべく、LTEのRelease 12で導入された新しい規格が、Cat.0(Category 0)である。Release 12は2015年3月に仕様が策定された、比較的新しいものであるが、この中で“LTE User Equipment(UE)Category”と定められたものである。

Cat.0とは?

 Cat.0のターゲットになるのはMTC/M2M(Machine Type Communication/Machine to Machine)で、これに向けて、

  • 低モビリティ:固定されている、あるいは特定のエリアでのみ動くことを想定。例えば自動販売機の様に設置されてそれっきり、あるいは工場とか病院の様な狭いエリアでのみ移動することを念頭に置いている。これによって複数の基地局を跨いで通信する、いわゆるハンドオーバー的な処理を省いた。
  • 時間制御可能:リアルタイムでの通信は考えず、一定時間毎に通信するといった使い方を前提
  • データ通信のみ:音声通話は考慮外(VoIPを使うなど策はあるので、まるっきり不可能というわけではないが、少なくとも設計段階では考慮しない)
  • デバイスのグループ化:複数のデバイスでまとめて通信することを考慮。例えば複数の自動販売機が並ぶエリアで、全部をまとめて1台から通信するといった使い方を考慮

といった特長を持つ規格である。

 物理的な仕様としては、

  • 通信速度:上り/下りともに1Mbps
  • アンテナ本数:1本
  • 通信方式:全二重と半二重の両方をサポート
  • バンド幅:20MHz
  • 最大送信出力:23dBm

といった具合になっている。

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