「これ買ってといわれて買う親はいない」、トヨタの原価低減は親子関係に通ず:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
トヨタ自動車は2019年3月期(2018年度)の業績見通しを発表した。売上高は前期比1.3%減の29兆円、営業利益は同4.2%減の2兆3000億円、当期純利益は同15.0%減の2兆1200億円で2期ぶりの減収減益を見込む。
お父さんに何か買ってもらう時には
決算会見に出席した豊田氏や小林氏、専務役員の白柳正義氏は「トヨタ生産方式」と「原価低減活動」に一層注力することを繰り返し述べた。稼ぐ力の強化は新技術や新規分野への投資の原資を確保することであり、今後トヨタ自動車が注力するモビリティサービスにもトヨタ生産方式と同じ姿勢が求められるからだ。
原価低減について、豊田氏は親子関係を例に出した。「62歳になり、社員は子どもで自分は親父だという感覚になった。子どもに『これを買って』と頼まれて、そのまま買い与える父親はいない。『ここは我慢するから、これくらい稼ぐから、お父さんちょっと手伝って』という考えが必要だ。社内には安易に父親に頼むような風潮がある。予算さえ取れればいい、会議さえ通せばいいという考えをしないのが原価低減活動だ」(豊田氏)と説明。
また、小林氏はトヨタ生産方式や原価低減活動が目新しい取り組みでないことを前置きした上で「全員が本当に意識して、血や肉になっているとは思えない」と述べた。「現場は3000億円以上の改善を実施しているが、事務方や技術部門はどうか。現地現物の考えでは、現場で話すことが一番早いはずだ。それがいつの間にか、順番に決済したり読まれない資料を作ったりしている。会議や資料づくり、社内調整のムダを見直していきたい。われわれが課長クラスや一般社員とも何を悩んでいるか話し合い、ムダなことをやめてもっと仕事をしやすい工数を作ってあげたい」(小林氏)。
必要な人に必要な時にサービスを提供する
トヨタ自動車は、“自動車メーカー”から、移動に関わるあらゆるサービスを提供する“モビリティカンパニー”に変わろうとしている。豊田氏はモビリティサービスの提供にトヨタ生産方式が強みを発揮すると語った。サービスを必要とする人に、ダイレクトかつリアルタイムにサービスを提供することは、必要な時に必要なだけ提供するという「ジャストインタイム」に共通する。
実際に、トヨタ自動車のモビリティサービスに関わる現場ではトヨタ生産方式に基づくオペレーションを導入し、サービスを提供するリードタイムを大幅に削減しようと挑戦しているという。
「お家芸ともいえるトヨタ生産方式と原価低減を徹底的に磨くことは、今を生き抜くだけでなく未来を生き抜くためにこそ必要だ」(豊田氏)
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