“日本式”を世界の土俵へ、IVIが取り組む「緩やかな標準」の世界展開:ハノーバーメッセ2018
IVIはハノーバーメッセ2018において、理事長の西岡靖之氏が講演を行い、日本らしい「緩やかな標準」の価値と、2018年3月に発表した「IVRA-Next」の内容について紹介した。
Industrial Value Chain Initiative(IVI)は2018年4月23日、ハノーバーメッセ2018(2018年4月23〜27日、ドイツ・ハノーバーメッセ)で開催されたインダストリー4.0への取り組みを有識者が語るフォーラム「INDUSTRIE 4.0 MEETS THE INDUSTRIAL INTERNET FORUM」において、講演を行った。理事長の西岡靖之氏が「『IVRA-Next』によるスマート製造エコシステムの戦略的実装」をテーマに登壇し、IVIが推奨する日本らしい「緩やかな標準」の価値と2018年3月に発表した「IVRA-Next」の価値について訴えた。
IVIは日本機械学会生産システム部門の「つながる工場」分科会を母体とし、2015年に発足した後、2016年から海外でのアピールを本格化。ハノーバーメッセにおける活動紹介は2016年から3年連続のこととなる※)。
※)関連記事:米独連携ムード中で気を吐いたIVI、日本らしい“緩やかな標準”をアピール
今回はIVIのここまでの活動紹介とともに、2018年3月に新たに発表したモノづくりの実現戦略「IVRA-Next」を中心に紹介。来場者に「IVRA-Next」の冊子を配布して日本式モノづくりの考え方を訴求した。
「IVRA-Next」の前身となる「IVRA(Industrial Value Chain Reference Architecture)」は2016年12月に公開。「IVRA」は、基本的にはドイツのインダストリー4.0で示された参照モデル「RAMI4.0」※)と同様に、製造工程を3次元の立方体で表現するが、Plan、Do、Check、ActionというPDCAサイクルや、クオリティー(Q)、コスト(C)、デリバリー(D)、環境(E)など、製造現場の改善活動で使われる要素を取り込んだ。加えて、これらの立方体モデル(SMU)を組み合わせることで製造業の多様な業務を全体最適で捉えられるようにしたことも特徴となる。
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「IVRA-Next」はこの「IVRA」に対し、さらにデータの運用方法やモノづくりをサイクルで捉えられるようにしたことなどが特徴となる※)。西岡氏は「つながる世界を作るには、データの連携が必要となるが、それぞれの環境が異なる中で『翻訳』が重要な意味を持つ。翻訳を実現するためには、それぞれの違いを越えて相互理解を進める共通辞書のようなものが重要になる」と共通辞書の価値について訴えた。
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さらに、この共通辞書の作成にはIVIが取り組んできた「緩やかな標準」作りが地道だが効果があると強調した。「競合関係にある企業などが共通の場で話し合い、課題をベースにした解決のシナリオと解決の手段やツールなどを規定する『緩やかな標準』作りはまさにこの共通辞書の作成に大きく貢献する」と西岡氏はその意義について語った。
海外のスマート製造に取り組む団体が積極的な協調や情報発信を行う中で、日本の取り組みは世界から見ると期待感はあるものの「よく分からない」とする声も多い。ハノーバーメッセはここ数年インダストリー4.0の進捗の場としての意味を持つようになっているが、その中で「日本らしさ」を訴える意味は大きい。
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