「つながる工場」のデータ連携も視野に、IVIが新たな実践戦略を披露:スマートファクトリー(1/4 ページ)
IVIは新たな「つながるモノづくり」の実現に向けたグランドデザインとして、従来公開してきた参照モデル「IVRA」を発展させた「IVRA-Next」を公開した。
インダストリアルバリューチェーンイニシアチブ(IVI)は2018年3月1日、新たな「つながるモノづくり」の実現に向けたグランドデザインとして、従来公開してきた参照モデル「IVRA」を発展させたつながるモノづくりの実現戦略「IVRA-Next」を公開した。
IVIは、日本機械学会生産システム部門の「つながる工場」分科会が母体となり、2015年から活動を開始。日本の現場力を生かした「緩やかな標準」を軸とし、製造現場における具体的な問題の解決をテーマに企業間協力などの取り組みを推進してきた。2016年以降は活動の範囲を広げ、個々の問題解決の形を組み合わせたプラットフォーム化や海外での認知拡大活動などを推進。その中で「つながる工場」の参照モデルとして2016年末に「IVRA」をリリースした※)。
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「IVRA」は、基本的にはドイツのインダストリー4.0で示された参照モデル「RAMI4.0」※)と同様に、製造工程を3次元の立方体で表現するが、Plan、Do、Check、ActionというPDCAサイクルや、クオリティー(Q)、コスト(C)、デリバリー(D)、環境(E)など、製造現場の改善活動で使われる要素を取り込んだことが特徴。加えて、これらの立方体モデル(SMU)を組み合わせることで製造業の多様な業務を全体最適で捉えられるという。
※)関連記事:インダストリー4.0がいよいよ具体化、ドイツで「実践戦略」が公開
新たに公開した「IVRA-Next」は、この参照モデルなども活用したデータビジネスの実現戦略に位置付けられる。参照モデルや戦略の概要を説明するとともに、実現に向け必要となるデータ連携フレームワークなどを示している。
スマートなモノづくりの定義
「IVRA-Next」では、まず「IVRA」などでも示した言葉や要件などをあらためて分かりやすく再定義した。スマートなモノづくりを実現するための共通的な要件として「つながる化によるバリューチェーン」「緩やかな標準を用いた自律的協調」「プラットフォームによるエコシステム」の3つを挙げる。加えて、製造業の階層を「経営レイヤー」「活動レイヤー」「仕様レイヤー」の3つに分け、基本軸として「製品軸」「サービス軸」「知識軸」の3つの軸での活動を行っていると定義する。
これらの基本軸をベースに、製造業ではさまざまな活動をサイクル化して進めている。主に「製品サプライサイクル」「工程サービスサイクル」「製品ライフサイクル」「工程ライフサイクル」の4つのサービスを中心にモノづくりのサイクルは回っているという。さらに長期のサイクルとしては、事業者そのもののライフサイクルなども存在する。
IVIでは、これらの要件や階層、サイクルなどを活用して活動内容のモデル化を推進。最小単位として、IVRAで定義した「スマートマニュファクチャリングユニット(SMU)」を用意する。SMUは、つながることで付加価値を最大化する新しいタイプの製造業の基本構造を構成する組織単位である。
SMUは「資産」「活動」「管理」の3つの視点で構成されている。資産の視点とは、モノづくりとして価値を持つものに着目するもので、「人(Man)」「機械(Machine)」「材料(Material)」「方法((Method)」という4Mを定義する。管理の視点は、管理のための目的や指標を示す視点である。「品質(Quality)管理」「コスト(Cost)管理」「納期(Delivery)管理」「環境(Environment)管理」というQCDEの視点で管理を行う。活動の視点では、それぞれの現場で行う活動に着目し、対象とする問題を主体的にとらえ問題解決を通して改善していく様子を示す。「計画(Plan)」「実施(Do)」「解析(Check)」「改善(Action)」の4つの活動サイクルが存在する。
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