電池も配線も不要、トイレの施錠情報を無線送信するIoT金具:製造業IoT
ロームの無線通信デバイス「EnOcean」を、総合金物メーカーのシブタニがトイレの施錠金具「SWITCHSTRIKE AIR」に搭載した。また、混雑トイレの利用効率向上に活用するため、同金具の試験運用を開始した。
ロームは2018年2月15日、同社の無線通信デバイス「EnOcean(エンオーシャン)」を、シブタニがトイレの施錠金具「SWITCHSTRIKE AIR」に搭載したと発表した。また、混雑トイレの利用効率向上に活用するため、同金具の試験運用を開始した。SWITCHSTRIKE AIRは、同年3月末から1個1万5000円(税別)で発売する。
EnOceanは、光や温度、振動などの微弱なエネルギーを電気エネルギーに変換する「エネルギーハーベスト技術(環境発電技術)」を使った無線通信デバイスだ。電池も配線も必要としない。
これを総合金物メーカーのシブタニが、スライドラッチ(トイレの施錠金物の専用受け)SWITCHSTRIKE AIRに搭載。SWITCHSTRIKE AIRが個室トイレの施錠・解錠情報を無線で送信し、その情報を利用して、トイレの入り口や専用アプリケーションで空室状況を表示することにより、利用状況の検知が可能になる。
さらに情報のビッグデータ化により、商業施設や観光施設、イベント会場などでのトイレの利用効率や利便性向上、施設管理の適正化に役立てることができる。
既存製品との比較では、扉に磁気センサーを設置する製品の場合、常閉仕様の個室トイレに対応できず、人感センサーや温度センサーを利用するタイプは利用情報を正確に得るのが難しい。また、ソーラーパネル仕様の製品は、消灯状態が多い省エネトイレでは発電量が足りなくなる恐れがある。
SWITCHSTRIKE AIRは、スライドラッチのメカ部に発信機能があり、施錠・解錠時に情報を飛ばせるため、どんな個室トイレにも対応できる。施錠・解錠の一瞬の動きで発電が可能で、電池や配線工事の必要がなく、ドライバー1本で簡単に取り付けできる。
同製品の活用形態は、看板に空き状況を表示するだけのシンプルな「独立型」と、インターネットを介してPCやアプリ上で満空表示を見たり、トイレの施錠時間や利用状況などを確認できる「ネットワーク型」がある。サードパーティーと専用システムを構築すれば、ビッグデータ化した情報をさまざまな形で活用できる。
試験運用は、ウイングアーク1stと京都市の協力により、京都市中京区の元離宮二条城で実施する。ウイングアーク1stの管理システムを用いて、休憩所内のトイレについて遠隔で施解錠状態を確認する他、使用状況のデータを管理・分析して2次利用に役立てる。
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