IoTトイレが乗っ取られたら漏れる、あの情報――TOTOとNTTコムらの実証実験:製造業IoT(1/3 ページ)
NTTコミュニケーションズは総務省より受託したIoTセキュリティ基盤の実証実験におけるテーマの1つである「スマートホーム」に関する成果視察会をTOTO 茅ケ崎工場で開催。実機を使用してIoTトイレの乗っ取り対応のデモを披露した。あの情報も漏れる恐れがある。
NTTコミュニケーションズは2018年2月7日、総務省より受託したIoTセキュリティ基盤の実証実験におけるテーマの1つである「スマートホーム」に関する成果視察会をTOTO 茅ケ崎工場で開催した。
NTTコミュニケーションズとNTTPCコミュニケーションズが取り組む「IoTセキュリティ基盤を活用した安心安全な社会の実現に向けた実証実験」は2017年12月から開始し、IoTデバイスにおけるマルウェア感染、DDoS攻撃などの脅威からサービスや環境を守るためのIoTセキュリティ基盤(IoTセキュアゲートウェイ)を構築し、その有用性に関する検証を実施している。実証実験は2018年3月頃まで続く。
この実証実験は、「カーモビリティ」「スマートホーム」「エデュケーション」の3分野で進めてきた。「カーモビリティ」ではタイムズレスキュー、「エデュケーション」では小金井市立前原小学校、「スマートホーム」ではTOTOが協業している。
IoTセキュアゲートウェイは、IoT機器とインターネットの境界において、さまざまなセキュリティ脅威に対して認証や検知を行い、必要に応じて通信や不正なアクセスを遮断するといった対処を実施する。
TOTOでは将来の製品における水回り空間のIoT化について研究開発を進めてきた。トイレや浴室、キッチンなどに設置したセンサーから、ユーザーの利用頻度や行動情報、生体情報などを収集してビッグデータ化することで、顧客に新たな価値を提供しようという取り組みだ。個人ユーザー、高齢者介護施設や、食事指導や保健指導などに携わるサービス事業、医療機関がデータでつながることで、新たなサービスが創出できるとしている。
今回の実証実験では、トイレに搭載された各種センサーから情報収集した上レポーティングする仕組みを構築し、高齢者介護施設やデイサービス、TOTO 茅ケ崎工場の社員用トイレ、一般家庭で試験導入し、データ収集や分析などを実施。今回は利用者のトイレ利用状況、排せつ物情報を収集している。
現場のトイレにはさまざまなセンサーを設置し、利用者には個人IDを特定するためのデバイスを装着してもらう。トイレの各種センサーから取得したデータと個人のIDをひもづけながらデータを管理していく。個人IDを送信するデバイスはBluetoothを使い、システムの通信回線としてはLTEやFTTHなどを用いる。
例えば高齢者介護施設では収集データを基に、利用回数から頻尿や代謝不良、使用時刻から睡眠不足や認知症、使用時間から便秘や体調不良、認知症、使用姿勢から便の大小や身体の状況といった判断を試みている。
ビジネスのシナリオとしては、利用者によるIoT機器の購入とサービス加入により、そこから収集される情報から保健指導や高齢者見守りなどのサービスを提供することを想定する。
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