深層学習のアノテーション工程を自動化、省力化する機能を提供:製造ITニュース
ABEJAは、オープンプラットフォーム「ABEJA Platform」のβ版に「アノテーション」機能を追加し、パートナー企業への提供を開始した。これまでアノテーションに要していた作業負荷を大きく軽減し、作業プロセスを自動化、省力化できる。
ABEJA(アベジャ)は2017年12月6日、ディープラーニングを活用したオープンプラットフォーム「ABEJA Platform」のβ版に、大量のデータから教師データを作成する「アノテーション」機能を追加した。現在、パートナー企業に提供中で、正式版の提供は2018年2月を予定している。
今回追加したのは、ディープラーニングの運用において、大量のデータを識別・分類して教師(正解)データを作成するアノテーションの工程を自動化し、省力化する仕組みだ。アノテーションをより正しく実行するためのツールを提供するとともに、大量のデータを即時にアノテーションできる人材をABEJAの管理下で提供する。
提供されるアノテーションツールには、高精度に教師データを作成するためのノウハウが組み込まれている。データの識別や分類の方法を定めるなど、アノテーション作業画面の作成やマニュアル作成が可能なWebアプリケーションとなっている。
人材については、スリープログループ、チャーリーハウス、トランスコスモス、Framgia、ママスクエアからなる5社のアノテーションパートナーとBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)契約を締結。常時1万人規模の人材を確保する。ABEJAの管理下でBPOを活用するため、人材のマネジメントや品質管理などの必要がない。
アノテーションは精度の高い学習済みモデルの生成に重要な工程だが、自動化が難しく、膨大なデータの識別や分類をするのに多くの人手が必要となる。今回追加したサービスにより、これまでアノテーションに要していた作業負荷を大きく軽減し、作業プロセスを自動化・省力化できる。
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