日本ディープラーニング協会「モノづくりとの組み合わせで新たな産業競争力に」:人工知能ニュース
ディープラーニングを手掛ける企業や研究者が設立した団体「日本ディープラーニング協会」が設立発表会を開催。理事長を務める東京大学大学院 特任准教授の松尾豊氏は「日本は米国や中国と比べてディープラーニングの研究開発や活用で遅れているが、製造業のモノづくりとの組み合わせで対抗すれば新たな産業競争力になる」と訴えた。
ディープラーニング(深層学習)を手掛ける企業や研究者が中核となって設立した団体「日本ディープラーニング協会(Japan Deep Learning Association:JDLA)」は2017年10月4日、「CEATEC JAPAN 2017」(2017年10月3〜6日、幕張メッセ)の会場内で設立発表会を開催した。
JDLAは、国内産業がディープラーニングをより有効に活用し、産業競争力を高めることを目指し、産業促進、資格試験事業をはじめとする人材育成、公的機関や産業への提言活動、国際連携活動、社会との対話などを活動内容とする団体である。
理事長はAI(人工知能)研究で知られる東京大学大学院工学系研究科 特任准教授の松尾豊氏が務める。正会員は、ABEJA、ブレインパッド、FiNC、GRID、IGPIビジネスアナリティクス&インテリジェンス、エヌビディア、PKSHA Technology、STANDARD、UEI、クロスコンパス、zero to oneの11社。NVIDIAの日本法人であるエヌビディアを除けば、気鋭の国内AI/IoT(モノのインターネット)ベンチャーが名を連ねた。また、賛助会員としてトヨタ自動車が参加している。「現時点で正会員数は11社だが、早々に50社まで増やしたい。スポンサーともいえる賛助会員についても広く参加を呼びかけていく」(JDLA)という。
JDLAの当面の活動で最も重視しているのが人材育成と、ディープラーニングに関わる人材の育成に有効な資格事業だ。資格は、ディープラーニングを事業に生かすための知識を有しているかを検定する「G(ジェネラリスト)検定」と、ディープラーニングを実装するエンジニアの技能を認定する「E(エンジニア)資格」の2つを用意している。
G検定は、JDLAが定めるシラバス(学習計画)から出題する試験に合格すれば得られる資格だ。初回試験の申込期間は2017年11月17日〜12月9日、試験開催日時は同年12月16日の13〜15時。試験は多肢選択式の知識問題で、自宅受験が可能なオンラインで実施される。受験料(税込み)は1万2960円(初回、学生は9720円)程度を想定している。
受験資格がないG検定に対して、E資格は、JDLAが認定する教育プログラム「JDLA認定プログラム」を終了している必要がある。試験も、東京と大阪に設けられる会場で受ける必要があり、試験内容は多肢選択式の知識問題と実技試験から構成される。初回試験は2018年4月ごろ、受験料(税込み)は3万2400円を予定している。また、JDLA認定プログラムの事業者は2017年10月4日に開始しており、オンライン受講も可能なように環境整備を進めるとしている。
資格取得者の目標は、2020年までに、G検定が10万人、E資格が3万人。
理事長の松尾氏は「ディープラーニングの研究開発や活用において、日本は米国や中国と比べてかなり遅れているのが現状だが、日本が強みを持つ製造業のモノづくりとディープラーニングを組み合わせて対抗していけば新たな産業競争力になる。今がその最後のチャンス。JDLAとしては、ディープラーニングの技術者だけでなく、ディープラーニングをビジネスに活用できる人材も育成していく。取得した資格の活用や、資格取得による企業での待遇向上といった事例も示していけるようにしたい」と述べている。
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