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第4次産業革命であらためて強調したい「モノの価値」いまさら聞けない第4次産業革命(20)(3/3 ページ)

製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて、話題になったトピックなどに応じて解説していきます。第20回となる今回は、データの価値が訴えられる第4次産業革命において、あらためて強調したい「モノの価値」について解説します。

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モノとAIの関係性

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でも、AIなどを活用すれば、部品を組み込んだ最終製品で、簡単に学習して最適なアルゴリズムが作れたりするんじゃないんですか。そんな話も聞きますけど……。


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そういう面もあるかもしれないけれど、当面は逆にAIは「モノ」に引っ張られるという言い方もできるわ。


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ど、どういうことですか?


 現在は第3次AIブームとも言われています。それぞれのAIブームでは、それをけん引する技術が存在していましたが、現在は「統計的機械学習に基づいた深層学習」がそれに当たるといえます。

 一般的なプログラムは入力に対して、最適な計算式を要件として事前に設定しておくことで、最適な答えを出力します。いわゆるルールから答えを導き出す演繹的な構造となっています。しかし、統計的機械学習はこれとは真逆で、正しい答えに対して、とにかく適当に処理を試してみて、より効率の良いものを生み出すというアプローチになっています。いわゆる帰納的な構造です。そのため生み出されるものが「効果」としては正しくても、アルゴリズムの中身が分からないという「ブラックボックス問題」が生まれるわけです。

 例えばこれを、実証で使われているようなロボットのばら積みピックアップで考えてみます。「つかんで箱に入れる」ということをゴールとすると、ただひたすらに試行を重ねます。そして、偶然にもピックアップできて箱に入れるという成功を体験すると、それを学習し、新たな試行を重ねます。そうすることでより高い確率のアルゴリズムを生成できるというわけです。

 しかし、学習の効果を生かすには、周辺環境が変わらないという条件が必要になります。常に変化し続けていれば、学習した成功体験は生かせないからです。これはロボットそのものハードウェアの個体差というところにも関係してきます。より精密な条件であれば、その個体差によって学習の効果が変わり、同じアルゴリズムを使っていても、精度が低下するというようなことが起こり得るわけです。つまり、学習条件を固定化するためには、ハードウェアにかなりの依存する面ができるということになるのです。

 そのため、将来的にAIのアルゴリズムをサービスとして提供することになった場合には、それがモノを動かすというときには、ある意味で「学習原器」のようなものを設定し、それぞれの環境と「学習原器」との差を埋める形でパラメータ調整などを行うというような使い方が想定されるわけです。

 これらのことを考えると「モノ」にまつわるデータの領域はまだまだ未解決な領域が数多く広がっています。これらをうまく組み合わせて展開することを考えると「モノ」の価値、メーカーの価値というのはさらに高めていけるのではないかと考えています。


 さて今回は、前回と近い内容になりましたが、第4次産業革命に対して新たに注目を集める「モノの価値」についてまとめてみました。次回はIoTを品質にどう活用できるのかという点についてあらためて説明したいと思います。

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