国内AIシステム市場は2021年には2501億に、自動顧客サービスなどで成長:製造ITニュース
IDC Japanは、「国内コグニティブ/AIシステム市場」を調査し、2016年の市場分析と2021年までの市場予測を発表した。今後、金融などでの詐欺検出や分析、全業種での自動顧客サービスなどでAI適用が進むと予測する。
IDC Japanは2017年11月15日、「国内コグニティブ/AI(人工知能)システム市場」の調査結果を踏まえ、2016年の同市場の分析と2017〜2021年の市場予測を発表した。2018年以降、金融業での詐欺検出や分析、全業種での自動顧客サービスなどでのAI適用が進むとしている。
同社では、コグニティブ/AIシステム市場を、自然言語処理と言語解析を使用して質問に応答し、機械学習をベースとしたレコメンデーションとディレクションを提供する技術として定義している。2016年の国内の同市場規模は、ユーザー支出額ベースで158億8400万円と推定。企業のAI利用機運の高まりが見られたものの、効果の実証実験が多く、実際のビジネスへの適用は少数にとどまったとする。ユースケースでは、専門職の分析や検索をサポートする「ナレッジワーカー向けデジタルアシスタンス」や、製造業での「品質管理」などが多かったとみている。
また同社では2017年3月に、従業員100人以上の国内ユーザー企業500社を対象に「コグニティブ/AIシステムに対する意識調査」を実施した。その結果によると、全体の57.4%でAIが自社ビジネスへ何等かの影響を及ぼすと感じ、特に従業員100〜249人の中小企業での関心が高いことが判明したという。同社ではこの結果を、人材不足対策への期待およびAIによる競争力低下への脅威によるものと推定する。一方、既にAIシステムを全社や複数部門で利用している企業は全体の9.6%で、普及には至っていないことが判明した。
2017年の同市場予測では、それまでの実証実験から実ビジネスへの適用が多くなり、市場は急速に成長すると予想する。2018年以降の同市場は、金融などでの詐欺検出や分析、全業種での自動顧客サービスなどへのAI適用が進み、2016〜2021年の年間平均成長率は73.6%となり、2021年には2501億900万円の市場規模になると予測する。
同社では、ベンダーおよびシステムインテグレーターは、コグニティブ/AIシステムのビジネス展開期に合わせ、AIの実ビジネス適用のためのコンサルティング、教師データの構築および作成支援サービスなどが必要だと分析している。
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