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リードタイムを短縮する4つの方策はこれだ!こうすればうまくいく生産計画(4)(1/5 ページ)

今日の製造業が抱えている根本問題は「大量・見込み生産の体制を残したまま、多品種少量の受注生産に移行しようとしている」ことにある。生産計画を困難にするさまざまな要因を乗り越え、より良い生産計画を実現する方法を検証してみよう。

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15年ウイスキーのリードタイムは?

 いま、目の前に15年物のウイスキーが置いてある。スコッチのシングルモルトだ。作るには、たるの中で15年間寝かせなければならない。でも、このウイスキーのリードタイムは3日だといったら、皆さんは驚かれるだろうか?

 このウイスキーの製造に着手してから製品になるまでのリードタイムは、確かに15年以上かかる。しかし、この商品をネット販売で注文すると、3日後に手元に届く。つまり、納入リードタイムは確かに3日なのである。これを可能にしているのは流通在庫の存在であり、つまりそれはメーカーが需要を見込んで生産しているおかげだ。


 このように、リードタイム短縮の問題を考えるときは、その言葉が指す内容を明確にしておかなければならない。リードタイムの定義とは、

オーダー(指示)からフルフィルメント(完了)までの期間

である。リードタイムには何種類もあり、通常はオーダーの内容で区別する。製造指示から製造完了(出荷可能)までの期間を製造リードタイムと呼び、納入指示(発注)から納品までの期間を納入リードタイムと呼ぶ。

 前回「納期と在庫のトレードオフを解決する知恵とは?」に掲載した「図1 製造業の4つの生産形態」をもう一度見てほしい。まったく同じ製品を作る場合でも、顧客からの注文から納入までのリードタイムは、個別受注生産・繰り返し受注生産・受注組み立て生産・見込み生産の形態によって異なり、この順に短くなる。それなら、すべて見込み生産にすればリードタイム短縮問題は解決だろうか? むろんそう簡単にはいかないから、生産計画担当者の苦労があるのだ。在庫を持てば、納入リードタイムは短くなるが、在庫として寝かされている期間が増えるため、製造全体のリードタイムは長くなってしまう。当然、在庫陳腐化のリスクも増える。リードタイム短縮と在庫削減は、ある面ではトレードオフの関係にある。

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