「家庭用IoTでの勝ち組はまだいない」シャープがAIoTプラットフォームの外販強化:製造業IoT(2/2 ページ)
シャープはAIoTへの取り組みを強化。新たにクラウド関連サービスのブランド統合を進める他、AIoTプラットフォームの外販を強化していく方針を示した。
8Kエコシステムを推進
一方で、もう1つの柱として「8K World」の拡大にも取り組む。8Kは横7680×縦4320画素で、フルハイビジョンテレビ(1920×1080画素)の16倍の画素数を持つ。8Kの価値についてシャープ 取締役執行役員 8Kエコシステム戦略推進室長 西山博一氏は「単純に画素数が増えたというだけではなく、16倍の情報量があると考えるべきである。圧倒的なリアリティーを再現できるとともに、従来見えなかったものが見えるということで、新たな用途が生まれる」とその価値について述べている。
シャープでは「8Kエコシステム」として、コンテンツの作成から加工、配信、表示までの一連のソリューションをエコシステムとして展開していく方針を示す。シャープ自身はディスプレイ技術が強いが「シャープが保有していない領域については積極的にアライアンスを進めていく」と西山氏は述べている。
8Kの産業利用としては、カイロスと提携し8K硬性内視鏡システムなどを展開。8Kの高精細画像を生かして、内視鏡手術の効率性や安全性を向上することができたという(※2)。西山氏は「医療や放送だけでなく、さまざまな領域で8Kエコシステムが展開できると見ている。産業用エコシステムをドライブするような8Kの活用を推進していく」と述べている。
(※2)関連記事:8K映像の内視鏡で遠隔医療、据え置き画質の超音波画像をモバイルで
70型8K対応液晶テレビについては、日本、中国、台湾、欧州の4極で展開。日本では2017年12月1日発売予定だが、2017年10月2日から予約を開始。「発売までに200台は受注したい」(西山氏)としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「AIoT」を社外に広げるシャープ、強みは音声対話技術にあり
シャープは、AIとIoTを組み合わせた「AIoT」を今後の成長に向けた事業の柱の1つに据えている。「ソフトバンクワールド 2017」の講演に登壇したシャープ IoT通信事業本部 IoTクラウド事業部長の白石奈緒樹氏は、AIoTを自社製品に応用するだけでなく、社外顧客にも「AIoTプラットフォーム」として広く展開していく方針を示した。 - シャープ戴社長「IoTによるスマート化の世界では一番強い」
シャープは2017年3月期第2四半期の決算を発表するとともに、IoTを活用したスマート化による「成長軌道への転換」に向けた戦略を説明した。 - 第4次産業革命の真の幕開けとなる2017年、カギを握るIoTプラットフォーム
2016年は製造業におけるIoT活用が具体的なものとして進展した1年となったが、2017年もその流れはとどまることはない。実導入や実活用に向けた本格的な動きが広がる中で2016年に注目を集めたのが、IoTを活用する基盤「IoTプラットフォーム」である。さまざまな解釈、さまざまなレイヤーのIoTプラットフォームが乱立する中、2017年はIoT基盤の整理が進む1年となる。 - 産業用IoTプラットフォームは4タイプに分類可能、矢野経済研究所が調査
矢野経済研究所は、製造業などがIoT(モノのインターネット)活用に向けて利用を検討している“IoTプラットフォーム”ベンダーへの調査を行った。その結果から「産業用IoTプラットフォームはおおむね4つのタイプに分類できる」と報告している。 - 第4次産業革命を支えるIoTプラットフォームって結局何なの?
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについてお伝えしています。第10回となる今回は、2016年から雨後のタケノコのように乱立する「IoTプラットフォーム」について説明したいと思います。 - 世界を変えるAI技術「ディープラーニング」が製造業にもたらすインパクト
人工知能やディープラーニングといった言葉が注目を集めていますが、それはITの世界だけにとどまるものではなく、製造業においても導入・検討されています。製造業にとって人工知能やディープラーニングがどのようなインパクトをもたらすか、解説します。