8K映像の内視鏡で遠隔医療、据え置き画質の超音波画像をモバイルで:MEDTEC Japan 2017
ソシオネクストは、「MEDTEC Japan 2017」において、内視鏡手術などで用いられる高精細な8K映像をエンコード/デコードする技術を披露。モバイル医療機器ソリューション「viewphii(ビューフィー)」のアップデートも紹介した。
ソシオネクストは、医療機器設計/製造の展示会「MEDTEC Japan 2017」(2017年4月19〜21日、東京ビッグサイト)において、内視鏡手術などで用いられる高精細な8K映像をエンコード/デコードする技術を披露した。
内視鏡手術を行う際に、その映像が鮮明かつ高精細で視野角も広ければ、医師への負担は軽くなり、手術も正確かつ短い時間で行えるようになる。そういったさまざまなメリットがあることから、カイロスが開発したのが「8K硬性内視鏡」である。
ただし8K硬性内視鏡で扱う8K映像は非圧縮の生データであり、他のモニターで表示して情報共有するにはエンコード/デコードが必要になる。
ソシオネクストは、2018年12月に始まる8K映像の衛星放送向けにリアルタイムでデコード可能なICを販売している唯一の企業だ。展示では、カイロスから提供された内視鏡手術の8K映像を、衛星放送向けの120MbpsのビットレートにエンコードしてUSBメモリに格納し、ソシオネクストのデコードICを搭載するデコーダーを使って表示していた。「ビットレート120Mbpsの映像データであれば、一般的なLANケーブルでも伝送できる。リアルタイムエンコード技術と組み合わせれば、手術室外での情報共有や遠隔医療などにも活用できるだろう」(同社の説明員)という。
また同社のシステムLSIを用いたモバイル医療機器ソリューション「viewphii(ビューフィー)」のアップデートも紹介した。
前回の「MEDTEC Japan 2016」で発表したモバイル連続血圧計ソリューション「viewphii CBP」は、血圧を計測する指先カフと本体ユニットを小型化した。従来の指先カフはかなり大きな指輪を装着するタイプだったが、テープを巻きつけるタイプに変更。指先カフから近い位置に置かなければならない本体ユニットは、小型化することで腕の上に載せられるようになった。
またモバイル超音波画像ソリューションの「viewphii US」は、超音波プローブや画像処理のメインCPU、信号処理回路などを改良することで、従来比で32倍の画質向上を果たした。「ある医療機器メーカーから、『少し前に発売されたミッドレンジの据え置き型超音波診断装置と同等以上の画質』という評価も得ている」(同社の説明員)という。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 指先カフで体を傷つけずに連続血圧測定、ソシオネクストがソリューション提案
ソシオネクストは、「MEDTEC Japan 2016」において、同社のシステムLSIを用いたモバイル連続血圧計ソリューション「viewphii CBP」のデモンストレーションを披露した。 - 4K超高精細映像伝送による血管内治療の遠隔指導システムを共同研究
EIZOは、金沢大学およびPFUビジネスフォアランナーと、4K超高精細映像伝送による血管内治療・遠隔指導システムの共同研究契約を締結した。遠隔地からの手技指導を可能にするシステムを開発し、2017年の実用化を目指す。 - 医療機器はシャープの新たな柱になるか、「健康コックピット」などずらり
シャープは、「国際モダンホスピタルショウ2015」において、同社が新規事業として期待を掛ける、「健康コックピット」などの医療関連機器をまとめて披露した。 - ソニーがイメージセンサーで次に起こすブレイクスルー
さまざまな映像製品に革新をもたらし続けているソニーのCMOSイメージセンサー。「自分越え」の革新を続けるその裏側には何があるのか。革新製品の生まれた舞台裏を小寺信良氏が伝える。 - 膵胆管の内視鏡検査による被ばく量を低減する画像処理技術を開発
島津製作所は、ERCP時のX線照射量を大幅に低減する画像処理技術「SUREengine FAST」を開発した。同社のX線TVシステム「SONIALVISION G4」向けの技術で、今後販売する同製品に標準搭載する。 - 食道狭窄の内視鏡治療に用いる食道拡張用バルーンを発売
オリンパスは、食道狭窄を治療するための処置具製品である食道拡張用バルーンとインフレーターを発売した。適用部位や狭窄の度合いに合わせ、6種類のバルーン径をそろえた。