膵胆管の内視鏡検査による被ばく量を低減する画像処理技術を開発:医療機器ニュース
島津製作所は、ERCP時のX線照射量を大幅に低減する画像処理技術「SUREengine FAST」を開発した。同社のX線TVシステム「SONIALVISION G4」向けの技術で、今後販売する同製品に標準搭載する。
島津製作所は2017年2月22日、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)時のX線照射量を大幅に低減する画像処理技術「SUREengine FAST」を開発したと発表した。同社のX線TVシステム「SONIALVISION G4」向けの技術で、今後販売する同製品に標準搭載する。
SUREengine FASTは、高速な演算処理によって、低線量でもノイズや残像を低減できるデジタルフィルタ処理技術だ。同技術を導入することで、内視鏡検査に必要なX線画質とリアルタイム性を維持しながら、透視被ばく量を従来比約60%低減できる。これは、SONIALVISION G4で従来の内視鏡検査時に使用されていた透視X線照射パルスレート15fpsを用いた場合のものだ。さらに、新技術導入後にパルスレートを7.5fpsにした場合、従来の15fps時に比べて透視被ばく量を約80%低減できる。
これらの特徴により、被検者や医療従事者の被ばくの低減が可能になる。今後は、内視鏡検査以外の検査にも、画像処理技術を低被ばくに適用させることを目指すとしている。
ERCPは、膵臓がんなどの病変を精密に検査するための膵胆管生検や、胆石の除去などの治療に用いられる手法。口から十二指腸まで内視鏡を挿入し、その先に付いたカテーテルから胆道系、膵管を直接造影する。その際、カテーテルの位置や造影状態などを確認するため、X線TVシステムの透視機能が使用されるが、その際には高画質な透視画像が必要だ。しかし、検査が長時間にわたるケースもあり、被検者や医療従事者への被ばくを低減することが求められていた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 島津製作所、微細加工に適したファイバー結合型の高輝度青色半導体レーザー発売
金属への吸収率が高い450nmの短波長において、従来の16倍となる輝度を可能にした。スポットサイズはφ100μmと極小のため、基板の配線パターン加工・半導体薄膜加工などの微細加工、3Dプリンタなどに利用できる。 - 島津製作所、X線TVシステムの骨密度測定アプリケーションを発売
X線TVシステム「SONIALVISION G4」に搭載することで、骨折が疑われる部位の画像診断や、従来は専用装置で行っていた骨密度測定が1台で行える。骨密度測定では、種類の異なるX線を照射し、骨の吸収率の差で骨密度を測定するDXA法を採用した。 - 島津製作所、高精度なプラスチックの純度検査ができる樹脂識別装置を発売
中赤外光をプラスチックフレークに照射し、その反射光を解析することで、プラスチックの種類を99%以上の高精度で識別・選別できる。作業はすべて自動で、プラスチックフレーク1個当たり約0.5秒で識別できる。 - 島津製作所、カリフォルニア州に民間航空機関連の新工場を設立
大口顧客に近いカリフォルニア州ロングビーチに。 - 島津製作所、小型ターボ分子ポンプ市場に本格参入
ポンプ・コントローラー一体型のコンパクトな設計で、垂直・水平・倒立いずれの方向でも取り付けが可能。新開発のパワーユニットや高効率モータを採用し、消費電力も従来製品と比べて62%減少した。