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「AIoT」を社外に広げるシャープ、強みは音声対話技術にあり製造業がサービス業となる日(1/2 ページ)

シャープは、AIとIoTを組み合わせた「AIoT」を今後の成長に向けた事業の柱の1つに据えている。「ソフトバンクワールド 2017」の講演に登壇したシャープ IoT通信事業本部 IoTクラウド事業部長の白石奈緒樹氏は、AIoTを自社製品に応用するだけでなく、社外顧客にも「AIoTプラットフォーム」として広く展開していく方針を示した。

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 鴻海精密工業グループの傘下となったシャープは、AI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)を組み合わせた「AIoT」を今後の成長に向けた事業の柱の1つに据えている。ソフトバンクグループの法人向けイベント「ソフトバンクワールド 2017」(2017年7月20〜21日)の初日の講演に、シャープでIoT通信事業本部 IoTクラウド事業部長を務める白石奈緒樹氏が登壇。AIoTを自社製品に応用するだけでなく、社外顧客にも「AIoTプラットフォーム」として広く展開していく方針を示した。

新生シャープの2本柱は「人に寄り添うIoT」と「8Kエコシステム」

シャープの白石奈緒樹氏
シャープの白石奈緒樹氏

 シャープは2017年5月に、2017〜2019年度の中期経営計画を発表。この3年間でデジタルトランスフォーメーションを進めて「人に寄り添うIoT」と「8Kエコシステム」という2本柱で事業を進めていく方針だ。これらのうち「人に寄り添うIoT」の基盤となるのが、AIoTプラットフォームである。

 AI×IoTとなるAIoTは、2015年10月開催の「CEATEC JAPAN 2015」に向けて、シャープのコンシューマーエレクトロニクスカンパニー(当時)のビジョンとして打ち出されたものだ。白石氏は「当時からシャープ製品の間をつなげることに注力してきたが、そのために構築してきたIoTクラウドが今後当社の事業展開において重要な役割を果たしていくことになった。強い使命感を感じている」と語る。

新生シャープの方向性
新生シャープの方向性(クリックで拡大) 出典:シャープ

 白石氏は、新生シャープにおける4つの事業ドメインのうち「スマートホーム」に所属している。スマートホーム事業ドメインでは、2年前から開発を進めてきたAIoT機器と、AIoT機器をユーザーに実際に利用してもらう上で必要なAIoTサービスを連動した事業展開を進めてきた。AIoT機器とAIoTサービスをつなげているのが、AIoTプラットフォームになる。

スマートホーム事業ドメインで培ってきた「AIoT」
スマートホーム事業ドメインで培ってきた「AIoT」(クリックで拡大) 出典:シャープ

 家電をもっと人に寄り添う存在とするAIoTを展開する上で重視しているのが「知性」と「愛着」である。行動を学習して操作が快適に成長するのが「知性」であり、感情豊かな音声対話でおもてなしすることが「愛着」につながる。そしてシャープでは、AIoTによって自社の家電製品に組み込んだ「知性」と「愛着」を「COCORO+」と呼びブランド展開している。

 COCORO+の成果は、現在までで6種の製品と5つのサービスになっている。コミュニケーションロボット「RoBoHoN(ロボホン)」や、スマートフォンAQUOSに搭載しているAI「EMOPA(エモパー)」、音声対話機能を持つウオーターオーブン「ヘルシオ」などだ。

「COCORO+」の取り組みの成果
「COCORO+」の取り組みの成果(クリックで拡大) 出典:シャープ

 白石氏は「愛着の鍵になるのは音声対話機能だ。スマートフォンの音声エージェントはユーザーの問いかけに回答するが、自ら話しかけることはない。製品から話しかけることで、ユーザーも話しかけやすくなり、愛着もわいてくる」と強調する。「ロボホンの場合、外観がロボットなこともあって話しかけることに問題はなかった。しかし、スマートフォンのエモパーでは『スマホにいきなり話しかけられてもキモイ』という意見もあり、充電を始めた瞬間や出掛ける前など、ちょうど良いタイミングで話しかけるようにした」(白石氏)という。

 そしてCOCORO+の最新製品になるヘルシオにロボホンの技術を導入。「奥様の相談役」という位置付けで、食材や料理のジャンルを話すだけで料理のレシピを提案する機能を搭載した。白石氏は「これまで調理家電のネット接続機能は利用率が10%程度だったが、このヘルシオは30〜40%とかなり利用していただけている。これも知見を積み上げてきた音声対話機能のおかげだろう。ただ、提案したレシピをガス火で調理する方が多いのは悩ましいところ」と述べる。

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