シャープ戴社長「IoTによるスマート化の世界では一番強い」:製造マネジメントニュース(1/2 ページ)
シャープは2017年3月期第2四半期の決算を発表するとともに、IoTを活用したスマート化による「成長軌道への転換」に向けた戦略を説明した。
鴻海精密工業の支援により経営再建を進めているシャープは2016年11月1日、2017年3月期(2016年度)第2四半期の連結業績を発表するとともに、成長に向けた戦略を発表した。
シャープでは2016年4月2日に鴻海精密工業との戦略的提携に合意し、同年8月12日には出資が完了。同年8月13日には新経営体制が発足し、新社長に戴正呉氏が就任した。2016年度上期は早期黒字化に向けた「経営資源の最適化」「責任ある事業推進体制」「成果に報いる人事制度」の3つの構造改革を具体化に注力した。下期以降は成長軌道への転換を図り鴻海とのシナジーの発揮、重点事業の積極投資、さらなる経営効率の向上などに取り組む。こうした取り組みで「遅くとも2018年度には東証一部への復帰を目指すとともに、輝けるグローバルブランドへの飛躍を目指す」(シャープ副社長の野村勝明氏)としている※)。
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2016年度上期は営業黒字化を実現
再建に向けて歩みを進めるシャープだが、2016年度第2四半期(累計)の決算は、売上高は9196億8500万円(前年同期比28.1%減)、営業利益は7900万円(前年同期251億6100万円の赤字)、経常損益は320億7600万円の赤字(同386億5900万円の赤字)となっている。
売上高の落ち込みは携帯電話端末などの販売が減少したことからIoT通信分野が前年比38.5%減の723億円となったことや、主力のディスプレイデバイスがテレビ用大型液晶やスマートフォン向け中小型液晶が減少し同36%減の3575億円にとどまったことが大きく影響した。また、その他のセグメントも健康・環境システム分野はエアコン、冷蔵庫が落ち込み同7.7%減の1390億円。複合機が不振だったビジネスソリューション分野は、同 7.3%減の1596億円。エネルギーソリューション分野もアジアのEPC事業など海外は増加したものの国内の太陽電池販売の減少で同33.6%減の522億円となった。
一方、営業利益はIoT通信が組織のスリム化、開発の効率化などにより、前年実績は大きく下回ったものの61億円を確保した。健康・環境システムは空気清浄機や、調理家電の高付加価値商品の販売拡大などで前年5.2倍の131億円を記録した。また、ディスプレイデバイスは中国での液晶テレビ事業の体質改善などの固定削減効果により前年と比べ赤字幅は縮小している。このうち、デジタル情報家電の業績は売価下落の影響はあったものの、国内で4Kテレビの販売を積極的に進めたことなどから黒字化した。
通期業績については、売上高がディスプレイデバイスの販売減などにより、同18.8%減の2兆円(同18.8%減)とするものの、営業利益は継続的に実施してきた構造改革の取り組みに加え、鴻海精密工業グループとの協業によるコストダウン効果などもあり257億円と、3年ぶりの黒字化を見込んでいる。また、親会社株主に帰属する四半期純利益も下期には黒字化を予想する。
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