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組み込みAIの性能密度が2倍以上に、「PowerVR」の新プロダクトライン:人工知能ニュース(2/2 ページ)
イマジネーションテクノロジーズは、学習済みニューラルネットワーク(NN)の推論実行処理に特化したハードウェアIP「PowerVR 2NX NNA」を発表した。性能密度(回路面積当たりの処理性能)は、競合他社のDSPと専用ハードウェアIPを組み合わせたソリューションと比べて2倍、NNの処理に最適化したDSPと比べて8倍に達する。
「PowerVRシリーズ9」との組み合わせはエッジデバイスに理想的
演算精度が柔軟に変更できることも2NX NNAの特徴の1つだ。NNの推論実行処理の各プロセスにおいて、ウェイトとデータの演算精度を16、12、10、8〜4ビットの間で柔軟に変更できる。ある事例では、演算精度を8ビットから4ビットに変更すると、処理性能が1.6倍に高まり、帯域幅は0.54倍、消費電力は0.69倍に削減できた。一方、演算精度を下げた場合に課題となる推論の精度については99%と1%低下するだけにとどまった。
開発環境としては「Caffe」や「TensorFlow」などの標準的な機械学習フレームワークから、学習済みNNを2NX NNAに最適化してポーティングするマッピングツールなどを提供する。また、対応OSとしてはLinuxとAndroidを挙げている。
「Caffe」や「TensorFlow」などのフレームワークで学習したNNを「2NX NNA」に最適化してポーティングするマッピングツールなどを開発環境として提供する(クリックで拡大) 出典:イマジネーションテクノロジーズ
ロングスタッフ氏は「2NX NNAとPowerVRシリーズ9との組み合わせであれば、競合他社のGPUと同じ回路面積で、同等のGPU性能と200倍のNN処理性能が得られる。エッジデバイスのSoCにとって理想的な組み合わせだ」と述べている。
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