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サーバ付き複合機はその一端、コニカミノルタが挑む「持続的パートナー」への道製造業×IoT キーマンインタビュー(3/3 ページ)

IoTによるビジネス変革が進む中、新たに発表したサーバ付き複合機「Workplace Hub」を中核とした新規事業創出を進めるのがコニカミノルタだ。同社のビジネスモデル転換について、コニカミノルタ 執行役 産業光学システム事業本部長の市村雄二氏に話を聞いた。

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1つの技術だけで解決できる課題はない

MONOist ソリューション型の提案は製造業にとっては難しいとの声もあります。

市村氏 コニカミノルタは以前から技術力はあるが、マネタイズへの力が弱いと感じていた。こうした中で新たに世界5極体制でビジネスイノベーションセンター(BIC)を立ち上げるなど、徐々に意識を変えてこれたと考えている。BICはとにかく多くの顧客企業と会い、さまざまなプロジェクトを次々に作り出している。従来の技術者はどちらかといえば、所属するドメインに縛られてしまい自社内の他事業部や他社との間で行う協力/技術融合などが苦手だった。しかし、単独の技術で勝負できる時代は終わっている。そういう意味では徹底的に顧客に話を聞きに行くことが大事だ。

 顧客の課題を把握し、それに対してコニカミノルタが保有している技術でどう解決するのかというアプローチが大事である。いくら優れた技術を持っていても、実際に現場で使わない人がいくら考えても、現場のニーズを満たす新たな製品やサービスを作ることはできない。実際に使う人に話を聞く方が圧倒的に早く、効果的な回答が導き出せる。

 今は世界を見るとあらゆる分野で、似たような技術が数多く存在してしまう時代だ。大手もスタートアップも混在して、ハードウェアもソフトウェアもすごい勢いで進化している。その中で、われわれが自己満足だけで技術を活用するだけでは価値のある製品にはならない。既に顧客企業が把握できているニーズは、入札など今あるものを買う形になる。しかし、もっと先を考えると、顧客の潜在的ニーズを探り出す、気付きを探るような取り組みが必要になる。

ビジネスモデル転換を実現する3つのポイント

MONOist 実際に新たな取り組みを進める中で手応えはいかがですか。

市村氏 現在進行系だが、目指す姿は「コンティニュアスインプルーブメントマネジメント」のアプローチだ。継続的なパートナーとして共に改善を進めていくという姿である。そのためには常にPoCを続けていくというような方法論を進めていく必要がある。PoCを回しながら、徐々に絵コンテ、プロットと具体化していき、コニカミノルタ社内での実践を通じて、顧客の現場での実践に入る。最終的に製品の形に仕上がった時には顧客企業が共同責任者になっているというような仕組みである。一過性のビジネスパートナーではなく、継続的に高め合うようなパートナー関係を目指したい。

 そのためには社内でも判断基準を大きく変えた。顧客企業とのパートナーシップを作り上げる中で考えるポイントは3つとした。1つ目が「顧客の抱えている課題」だ。その課題を解決すると顧客企業は社会に対してどういう価値を提供できるのかということを、顧客との議論の中で導き出す。

 2つ目が、その課題解決に対して「コニカミノルタがやる意義」だ。コニカミノルタがやっていて持続性があるのかどうかという点を議論する。すぐに追い付かれてまねされるようなことであれば、継続的な関係構築につながらないのでやらないという判断になる。

 3つ目が、担当者にとっての「夢」だ。顧客企業と社会価値がしっかり議論されていれば、市場規模が出て来る。その中でどういう価値を求め、どういう規模の市場にインパクトを与えたいのか、という将来像を示してもらう。これらの3つの基準が満たされれば、新たなパートナーシップ構築に向けて取り組みを進める。

 こうした取り組みを既に約2年、進めてきて、徐々に手応えが出てきている。2017年度はまだまだ成果としては小さいが、2019年度にはそれなりの事業規模まで成長させられると考えている。

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