中小製造業がIoTをバリバリ使いこなせるツール、106件が選定:製造業IoT(2/2 ページ)
経済産業省およびロボット革命イニシアティブ協議会は2016年7月27〜8月26日にかけて募集していた「中堅・中小製造業向けIoTツール募集イベント」の結果を発表。106件のツールを認定し「スマートものづくり応援ツール」として展開を進めていく。
中小企業のIoT活用が第4次産業革命実現のカギ
IoT(Internet of Things、モノのインターネット)による製造業のビジネス変革の動きが加速する中、中小製造業がこれらの動きに取り残される懸念が生まれている。IoTは、今まで接続できていなかった領域が「つながる」ことでデータを収集できるようにし、そのデータを分析することで従来にない知見や価値を生み出すという仕組みである。ただ、このデータ連携が実現できなければ価値を生み出せない。製造業では、サプライチェーンの中に多くの中堅企業、中小企業が含まれる場合が大半で、こうした企業がIoT化をどう実現していくかは業界全体の大きな課題だといえる。
こうした状況は製造業のIoT活用で進んでいるといわれているドイツも同様で、2016年4月にドイツ連邦政府と日本政府の間で結ばれたIoTにおける協力についての覚書(MOU)では、6つの協力項目のうちの1つが「中小企業に対するIoT利用の支援」となっている※)。
※)関連記事:IoTで日独連携が成立、6項目で覚書締結へ
実際に日本でも独自の支援を推進。中小製造業のIT化の支援を行う支援の仕組み「スマートものづくり応援隊」を始動する方針を示している。「スマートものづくり応援隊」とは、中小製造業のIT化の支援を行うとともに、製造現場においてIoTをどう活用すべきかという支援を行う組織である。さらに「スマートものづくり応援隊」に相談できる拠点として、「カイゼン指導者育成事業(2次公募)」により、さいたま市産業創造財団(さいたま市)、大阪商工会議所(大阪市)、山形大学(山形市)、北九州商工会議所(福岡県北九州市)、ソフトピアジャパン(岐阜県大垣市)の5つの拠点が選定されている。
今回、認定された「スマートものづくり応援ツール」はこうした、中小企業のIoT化支援拠点などにも、順次設置していく計画である。松嶋氏は「地方の中小企業のIoT化は大きなトピックだが、拠点などの整備と合わせてツールや、指導する人材などの整備を進めていくことが重要だ。これらがそろい、気軽に各地域の拠点で中小企業がIoT活用をしていくのに、最適なアドバイスが得られ、利用可能なツールを試すことができれば、普及は広がっていく。中小企業の導入の負担や不安を少しでも減らし、ICTとクラウドによる新たなビジネスプラットフォームづくりを推進していきたい」と述べている。
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