製造業のIoT活用、他社に“差”をつける考え方:もうけを生む製造業IoTの活用手順(1)(1/4 ページ)
製造業で活用への注目が集まるIoT。しかし、具体的にどういう取り組みを計画すべきなのか戸惑う企業が多いのではないだろうか。また、IoT活用を企業としての利益に結び付けるにはどうしたらよいかという点も悩ましい。本連載「もうけを生む製造業IoTの活用手順」ではこうした製造業のIoT活用のポイントを解説していく。
製造業のIoT(Internet of Things、モノのインターネット)活用に注目が集まっている。こうした中で経営層から「当社でもIoT活用をするぞ。企画推進をしろ」といった指示を受け、戸惑っている製造現場の担当者も多いのではないだろうか。最近、IoT活用に向けた投資計画を検討するように指示されたものの、具体的な取り組みの計画策定に向けIoTをどのように捉え、どこから着手すべきなのかに悩むといった声をよく聞くようになった。
一方、IoTの先進的な活用例として、ドイツの「インダストリー4.0」や米GEの主導する「インダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)」などの取り組みが話題となっている。しかしこうした海外の取り組みに関する資料を見ても、未来像やビジョンは示されているが、目前の仕事に参考になる“即効薬”にならないと感じてしまうのではないだろうか。
経営層から「競合他社に負けないように」とIoTの活用を求められても、経営層を納得させるような利益につながる成果を見いだせず、悩んでしまうケースも多いはずである。例えばIoTを「機器や設備にセンサーを設置し、そのデータを活用するといった取り組み」とだけ捉えてしまうと、「そういったことなら当社でも既に何年も前から行っている。今までと何が違うのか」と感じる方もたくさんいるに違いない。
一方で「やっと時代が追い付いてきた」とばかりに、長年の構想を実行に移し、IoTを活用して他社との“差”を付け始めた日本製造業も登場し始めている。この差はどこから来るのだろうか。IoT活用おいて一足早く動き出した企業を見ると、IoTを単なる新しい技術といった視点からだけでなく、新たな利益を生み出すビジネスモデル革新の機会と捉えているように思える。そして、同時にその活用に向けた中長期的な活動プランを描いている場合が多い。ここに違いがあるようだ。
そもそも製造業におけるIoT活用とは、具体的にどんな取り組みを意味するのか。そして現場作業の効率化だけに終わらず、新たな利益を生みだすビジネスモデル革新にどうつなげていけば良いのか。本連載「もうけを生む製造業IoTの活用手順」では、こうした基本的な部分について具体例を交えながら解説していく。第1回となる今回は、まず製造業におけるIoT活用の詳細と、具体的な活用計画の策定に向けたポイントを解説する。
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