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「うちも第4次産業革命をやれ」という指示は、既に本質を外している製造業IoT(1/3 ページ)

第4次産業革命とした大きな変革の波が訪れる中、日本企業にはどういう取り組みが求められるだろうか。ロボット革命イニシアティブ協議会では国際シンポジウムを開催。その中で「第4次産業革命」をテーマとした、日本の経済産業省 製造産業局長の糟谷敏秀氏と、ドイツの経済エネルギー省の総合産業政策部門のディレクターであるヴォルフガング・シェレメ氏の講演の内容をお伝えする。

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 ロボット革命イニシアティブ協議会は2016年2月15日、都内で「ロボット革命の実現に向けて」をテーマに、国際シンポジウムを開催した。

 ロボット革命イニシアティブ協議会とは、安倍政権が経済振興戦略の1つの中核に位置付ける「ロボット新戦略」を現実化していくための推進母体として2015年5月に発足した組織である。同戦略においてはロボット革命を「センサー、AIなどの技術進歩により、従来はロボットと位置付けられてこなかったモノまでロボット化し(例えば、自動車、家電、携帯電話端末や住居までもがロボットとなる)、製造現場から日常生活のさまざまな場面でロボットが活用されることにより、社会課題の解決やモノづくり・サービスの国際競争力の強化を通じて、新たな付加価値を生み出し利便性と富をもたらす社会を実現する」と定義しており、第4次産業革命などで示されるICT活用による産業変革の領域を含むことが特徴である※)

※)関連記事:「ロボット新戦略」が生産現場にもたらす革新とは?

3つのWG活動

 ロボット革命イニシアティブ協議会では、これらを実現へと移すために3つのワーキンググループ(WG)による活動を進めている。1つ目が、ドイツのインダストリー4.0などのIoTを活用した製造業のビジネス変革に日本としての立場で取り組む「IoTによる製造ビジネス変革WG」である※)。2つ目が、ロボットをより多くの産業や生活の場に導入することを目指す「ロボット利活用推進WG」。3つ目がこれらに必要な技術やイノベーションを模索する「ロボットイノベーションWG」である。

※)関連記事:政府主導の“インダストリー4.0”対抗基盤「IoTによる製造ビジネス変革WG」が始動

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ロボット革命イニシアティブ協議会 会長の岡村正氏

 これまでの活動について、ロボット革命イニシアティブ協議会 会長の岡村正氏は「約9カ月がたつが、ここまでは『どのように変革を進めていくか』ということを模索する助走期間のような形だ。2016年はようやく具体的なアクションを行う段階に入ってきた。現実性のあるシーンを想定してさまざまな取り組みを実行に移していきたい」と述べている。

 さらに、第4次産業革命やロボット革命において、ネットワーク化が前提となることを考えれば、標準化や規格なども含めて国際的な連携は必須となる。岡村氏は「世界で何が起きているかを把握し、これらに合わせたアクションを進めていくことが大事だ」と国際連携の強化を示唆した。

 それでは具体的に国家プロジェクトである「インダストリー4.0」を掲げ第4次産業革命の取り組みにおける先進国だとされるドイツはどのような取り組みを進めているのだろうか。

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