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「電機業界の失敗を繰り返してはならない」――経済産業省 西垣氏製造マネジメント インタビュー(1/3 ページ)

ドイツの「インダストリー4.0」や米国の「インダストリアルインターネットコンソーシアム」など、製造業のデジタル化が加速している。製造業の新たな取り組みに対し、政府が積極的に関与する動きが広がる中、日本政府はこれらの動きをどのように考えているのだろうか。経済産業省 ものづくり政策審議室長の西垣淳子氏に聞いた。

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 IoT(Internet of Things、モノのインターネット)やICT(情報通信技術)の進化により、モノづくりの手法を抜本的に変える製造業革新の動きが加速している。ドイツでは、産官学のプロジェクトである「インダストリー4.0※1)」が大きな注目を集めている他、米国ではGEなどが主導するインダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)※)が活動の幅を広げている。その他、フランスや中国などもIoTおよび製造業革新への振興政策を示しており、新たな産業の変化に積極的に政府が関与する動きが広がっている。

※1)関連記事:ドイツが描く第4次産業革命「インダストリー4.0」とは?

※2)関連記事:産業機器向けIoT団体「IIC」、その狙い

 日本でもこうした動きに対応し国内の製造業がIoT、ICTを活用した新たなモノづくりを検討する基盤として、「ロボット革命イニシアティブ協議会」の「IoTによる製造ビジネス変革WG」が始動。現在の製造業を取り巻く環境の変化について日本政府はどのように考え、どういう取り組みを進めていくのか。経済産業省 ものづくり政策審議室長の西垣淳子氏に聞いた。

電機業界がもたらした危機感

MONOist 製造業を取り巻く環境の変化についてどう考えていますか。

西垣氏 日本における製造業の状況を見ると、1つは稼ぎ方が変わってきたということがいえる。経済のグローバル化が進んだ点や、円高が長く続いた状況から、製造業の多くは生産拠点の海外移転を進めた。そのため、輸出型のビジネスモデルは減少し海外法人の利益を国内に還元する「経常利益型」の仕組みに変化しつつある。

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経済産業省 ものづくり政策審議室長の西垣淳子氏

西垣氏 統計で見た場合、製造業のGDP(総生産額)は1997年の約114兆円をピークに減少を続けており、ここ数年は90兆円レベルに落ち着いている状況だ。ただ内訳を見ると、落ちていない製品分野とそうでない分野がある。2000年以降にGDPが大きく落ちたのは「電気機械」だ。これはEMS(電子機器受託生産サービス)などモノづくりの仕組みが変化したことなどから、グローバルにおける競争環境の中で日系製造業の地位が低下したことによるものだ。モノづくりにおける大きな環境変化に対応できなかったということができるかもしれない。

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業種別GDPの推移(クリックで拡大)※出典:経済産業省「ものづくり白書」

西垣氏 一方現在、IoTによる産業の大きな変化が起ころうとしている。米国の調査会社Gartnerの予測によるとIoTは2020年までに200兆円規模の経済価値を創出すると予測されている。そしてそのIoTの活用先として最大の分野が製造業で、30兆円規模のインパクトがあるとされている。データ活用の観点から、あらゆる業界で競争領域が変化することが考えられる。新たなパラダイムシフトが起ころうとしているということだ。

 経済産業省としてはこの変化の動きに対し「2000年台の電機業界の低迷と同じことを繰り返しては駄目だ」という強烈な危機感を持っている。あらゆるモノがセンサーでつながりデータから生み出される付加価値が競争力の源泉となり産業の競争力が変化する中で、この変化に追随できなければ、現在は強い領域である製造機械や輸送機器などの産業も大きな影響を受ける可能性がある。2000年台の変化に対しては経済産業省でも有効な手立てが打てたとはいえないが、今回の変化に対しては有効な支援を進めていく必要があると考えている。

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