産業機器向けIoT団体「IIC」、その狙い:IoT観測所(5)(1/2 ページ)
IoTに力を入れるIntelだが、IoT団体としてしては「Open Interconnect Consortium」(OIC)と並行して「Industrial Internet Consortium」(IIC)も設立、積極的に関わっている。そのIICの狙いを説明する。キーワードは「Industrial Internet」だ。
前回(IoT観測所(4):インテルやサムスンらが主導するIoT標準化団体「OIC」の狙い)ではIntelらが主導する「Open Interconnect Consortium」(OIC)の話をご紹介したが、同社はOICと並行して「Industrial Internet Consortium」(IIC)も設立しており、こちらにも積極的に関わっている。ということで、今回はIICを紹介したいと思う。
IICの設立は2014年3月で、設立メンバーはAT&T、CISCO、GE、Intel、IBMの5社である。このIICのメリットについて、当時Intelの副社長兼IoT Solution GroupのGeneral Managerを務めていたTon Steenman氏(2014年8月にインテルを退職し、現在はいくつかのベンチャーキャピタルに籍を置いている)はIntel公式ブログ「IoT@Intel blog」にて、以下の5つを挙げている(IoT@Intel blog:Driving IoT Adoption Through Industry Collaboration)。
- 現実世界のアプリケーションのための、(既にある、もしくはこれから開発する)ユースケースやテストベッドの利用
- Connecting Technologyを普及させることで、ベストプラクティスやリファレンスアーキテクチャ、ケーススタディ、必要とされる標準化を提供
- インターネットおよび産業界におけるグローバルな開発プロセスの展開
- アイデアやプラクティス、レッスンあるいは展望を語り合うフォーラムの形成
- 新しい革新的なセキュリティを核にした信頼性の構築
これはIICのWebサイトに掲載されているFAQに示されている「IICの目的」(What are its objectives?)そのものではあるのだが、やや抽象的に過ぎる嫌いがある。
では具体的に何かの標準化を行うのか?というと、そうではない。同じFAQに「IICは何らかの標準化を行うのか」という問いがあり、それには、「IICはインターネットや産業界のグローバルな標準の開発プロセスに、より統合化する方向へ働きかけるような影響を与えることになろう」と答えている。
つまりOICやThread Groupなどとは異なり、IICが何らかの標準化を行うつもりはない。では一体IICはどうやって市場に影響を与えられるか?
その答えはGEである。端的に言ってしまえば、IICはGEを中核にビジネスを展開してゆくための組織と言ってしまってもいいほどだ。GEのエコシステムに参加したい企業のための組織としてもいいだろう。@ITでも「GEは自社の事業をどう変革しようとしているのか」など取り上げているが、GEは2012年の後半から「Industrial Internet」というスローガンを推進しているのだ。
Industrial Internetの実例として有名なのは、航空機用ジェットエンジンに関する取り組みである。ジェットエンジンに多数のセンサーを内蔵させておき、これらが常時エンジンの状態を監視してリポートする情報を分析することで、交換が必要になりそうな部品や交換すべき時期を事前に通知することで、保守スケジュールを最適化できるという話だ。この取り組みによって、補修部品の在庫を最適化するととも、航空機の稼働率を上げることにもつながるという話である。
航空機業界向けのソリューションはこれだけにとどまらないが、要点はセンサーを使って稼働状況をリアルタイムに把握すると、さらなる効率化を図れる、ということである。それは単に機器レベルの話ではなく、設備やフリート(設備群)、ネットワークという広範に及ぶ話である(Photo01)。
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