ホームアシスタントデバイス「Google Home」は“どうやって”家族を手助けするか:IoT観測所(23)(3/4 ページ)
2016年5月に発表された、Googleのホームアシスタントデバイス「Google Home」。Amazon Echo対抗と目されるが、同じくGoogleの「Project Brillo」とも関連づけて考えるべきだろう。
さて、Task I/Fのシナリオをどう実現するかをちょっと考えてみたい。
もちろんベースとなるのはGoogle Assistantであり、これが会話のコンテキストを解析して必要な処理を行う訳だが、「All Room」「Kevin's Room」といった単語を正しく解釈するためには、そもそも「部屋がいくつあり、どの部屋が誰のものなのか(あるいはどの部屋やどういう名称なのか)」を事前にGoogle Assistantへ知らせないといけない。
さらに「その部屋に何があるか」も事前に知らなければならない。あるいは「Turn On Light」とか「Play Music」といった言葉で動作を指定できるということは、「どんな種類のデバイスがあり、どんな動作モードを備えているか」をあらかじめ知った上で、それぞれのデバイスに対して適切な処理を行えるということになる。
つまり、それぞれの家に「どんなデバイスがあり」「どんな機能を持っており」「どんな場所に置かれ」「(その場所に)どんな名前がついている」か、といういわば家庭管理用データベースをGoogle Assistantが管理していることが、このデモから推察できる。
「日常生活のタスク化」の困難さ
普通に考えれば、この機能はGoogle Assistant側で管理されることになるだろう。具体的にどんな登録プロセスを経てこれが実現できるのかはまだ不明(そもそもこのビデオそのものがコンセプトに近いものだから、現在はまだ登録システムを開発中とか設計中の可能性すらある)であるが、この家庭管理用データベースの存在は非常に大きい。
というのは、これまで説明してきた家庭向けのIoT規格であるAllJoynにしてもHomeKitにしても、個々のデバイスにどういう機能を持たせてどうコミュニケーションをするかという手段は提供するが、もっと上位層での管理はアプリケーション任せとなっているからだ。
例えばHomeKitの際に紹介したElgatoのEve。実際にはEve room(空調の管理)、Eve weather(天候取得)、Eve energy(消費電力の測定)、Eve door&window(ドアと窓の開閉確認)、Eve etermo(サーモスタットの管理)といった複数の製品があり、これをHomeKit経由で手元のiOSデバイスから一括管理できるという製品で、これはこれで素晴らしいのだが、説明のビデオ(https://www.youtube.com/watch?v=CEHBGoG60mU)を見て頂くと分かるが「複数のデバイスをどう管理するかはユーザー任せ」となっている。
具体的に言えばEve door&windowはドアや窓のそばに配され、開閉どちらの状態にあるかを知らせると共に、過去の開閉記録を保存してこれを一覧できるというものだが、部屋に窓やドアは1つだけではない。これをiPhoneの画面から見たとき、「door&window 1」「door&window 2」……という具合に延々と並ぶというのは、控えめに言ってもユーザーフレンドリからかなり遠い場所にある。
関連キーワード
Google Home | Project Brillo | Google Assistant | HomeKit | Weave | AllJoyn | Amazon Echo | IoT観測所
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Google「Project Brillo」はどこまでApple「HomeKit」と派手に戦う?
Google「Project Brillo」はApple「HomeKit」の対抗馬と目される、家庭向けIoTプラットフォームであり、まだ不明点が多いものの対象の重複はほぼ間違いない。先行するHomeKitに対しどれだけ派手に戦う気か、考察する。 - 混迷するスマートホーム市場、Amazonが静かに存在感を高める3つの理由
家電見本市「CES」において、Panasonicの参入も発表された「スマートホーム」は大きな話題の1つだった。しかしCES不参加の企業が静かにその存在感を増している。Amazonだ。 - 戦場はリビングルーム、音声アシスタントを巡る競争で日本勢に遅れ
いわゆる「スマートホーム」を目指す各社の取り組みで、AppleやGoogle、Microsoftなどが注目しているのが、音声コントロールだ。「Amazon Echo」や「Nest」「Homekit」などで欧米各社が実用化に向けて走り出す中、日本企業は出遅れているとの声がある。 - 「Project Brillo」に見るGoogleのIoT戦略
「Android@Home」の夢を再び。「Nest」を送り出したGoogleは家庭内にそのターゲットを定め、「Project Brillo」を投入する。Amazonの「Amazon Echo」やApple「Homekit」とリビングのIoTを巡る争いが過熱しつつある。 - 「家」を変えたサーモスタット「Nest」
自由度の高さ故にカタチが見えにくい「IoT(Internet of Things)」だが、取り組みが進んだ今、各社の将来像が見えてきた。本稿では前編として、IoTの1つの目標として見えてきたスマートホームについて、Nestの事例を通じて解説する。