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ispaceの目指す、群ロボットが月面探査に向かう未来ロボットキーマンを訪ねて(6/7 ページ)

民間月面レース参加の次は、1000台の群ロボットで月面資源探査。ispaceの描く構想は壮大であり、実現するための知見も多く蓄えられている。「群ロボットで宇宙資源探査」の意図を尋ねた。

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吉田氏 今、チームHAKUTOとして、ispaceというベンチャー企業と東北大学がコアになってGoogle Lunar XPRIZEにチャレンジしていますが、もう1つ大切なグループがあります。「プロボノ」(Pro bono)といって、基本的にはボランティアなのですが、スキルを持った人がボランティアとして、何か大きなプロジェクトに関わる。自身の能力を生かしてプロジェクトに協力するというものです。

 HAKUTOのチームでも、実はプロボノのみなさんが活躍しています。私たちの活動を見て、自分たちも協力したいと、何か関わりたいという方に入っていただいて、プロジェクトの中の1つの役割を果たしてもらう。そういう可能性をどんどん提供しています。これは最先端の民主化だと思います。

HAKUTOが開発するローバー
HAKUTOがGoogle Lunar XPRIZEでの挑戦に向けて、開発しているローバー(写真は2015年2月の打ち上げ計画発表時に撮影)

 ispaceでは多くの人に関わってもらえる環境を整えている。プロボノとして関わってくれる人たちに、少しでも宇宙との関連を作ってもらって自分だったら何ができるかと考えて、次のアクションにつなげてほしいと袴田さん。実際、映像制作を本業とされていた人がHAKUTOのプロジェクトへの協力を経て、いまは自分で宇宙の事業をやると取り組んでいるという。

吉田氏 プレイヤー(参加者)が増えることが、すごく大事なのです。いろいろな人がいろいろなアイデアを持ち込めるようになりますから。民営化と民主化って似ていてぜんぜん違うと思うのです。

 どうしても、これまでの民営化は国がやっていたところを民間企業に委託する、でも受けている民間企業というのはすごい大企業です。残念ながら、それでは裾野はそんなに広がらないのです。

 そうではなくて、小さなベンチャーであったり、何かやりたいと思った個人が、ちょっと新しいアイデアを持てばそれが実現できる道筋があるということのほうがはるかに大きな効果を生みますし、今、その流れが始まったのではないかと思います。

袴田氏 宇宙って、夢があってワクワクするものですが、逆にそれが思考回路を縛っている気がしています。“好きだからこそ、こうでなきゃいけない”みたいなものがあって、専門家も専門家で固まりがちで、なかなか新しい発想が生まれないい。

 そこを取り除いてあげないと、なかなか民主化は起こらないと思います。しかも、これからの時代、なかなか1つの専門分野でブレイクスルーはなくて、分野が重なるところにブレイクスルーが出てくる。いろいろな考え方、アイデアを持った人たちといかに実現していくかというところを、一緒になってやっていくことが重要だと思います。

 群ロボット関連では、100台の群ロボットの1台1台を貸し出し、または、時間単位で研究者に貸し出し、自分の研究をやってもらうということも考えているという(これはまだ袴田さんの「自分の妄想の入ったアイデア」だそう)。それが実現すると、日本だけではなく発展途上国を含めた、より多くの研究者にチャンスが広がることになる。

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